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SalesZine & Beyond 2025

2025年10月23日(木)12:30~17:45

エンタープライズセールス事例

顧客への愛はあるか 「信用の壁」を乗り越え、売上高2期連続150%超を達成したサイキンソーの営業変革

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社内ノウハウを結集し、大手メーカーとの接点を獲得

──「信用の壁」は、多くのスタートアップ企業や新規事業がぶつかる課題だと思います。サイキンソーの場合、どのように乗り越えていったのでしょうか。

 まず取り組んだのが、エンタープライズ企業といかに接点を持つか。前職で医療機関向けの商品を展開していた経験から、学会や展示会への参加を通じて、企業に所属する研究者やアカデミアを獲得することから着手しました。

 マーケティング体制が整っていなかった当初は、私を含めた営業メンバー全員がマーケティングの視点も持ち、どこの学会や展示会に出れば我々の技術やサービスがターゲットに刺さるか考え、試行錯誤していましたね。

 そうこうするうちに、我々と同じく出展社として参加していた、大手メーカーとの接点を持つことができたのです。これをきっかけに、食品開発に携わる人が多く集まる食品開発や原料素材の展示会にも出展するようになりました。

──展示会での活動が、エンタープライズセールスの突破口になったのですね。

 実は法人事業よりも以前から、一般消費者向けの腸内フローラ検査サービス「マイキンソー」事業において、展示会に参加していたんです。社内で展示会参加のオペレーションが整っていたことに加えて、「マイキンソー」は法人事業のターゲット層の中でも認知度が高かった。こうした社内のノウハウや認知度を法人向け事業に取り入れたことで、最初の「信用の壁」を乗り越える足掛かりにできたと考えています。

技術営業とのタッグでアップセル/クロスセルを創出

──食品メーカーや製薬会社の研究・開発部門への提案では、高度な専門知識が不可欠だと思います。顧客の課題解決に向けて、専門的な領域をどのようにカバーしていますか?

 まさにおっしゃるとおりで、私自身、文系出身のため生物学などの知識はなく、専門的な質疑応答には対応できません。そのため2024年から、研究活動に従事していたメンバーに営業ミッションを与えた「技術営業」のチームを編成しました。現在は技術営業ユニットと、これまで営業を担当してきた事業創出ユニットが合体し、BtoBディビジョンというひとつの組織として活動しています。

 たとえばインサイドセールスから商談のパスがきた際、基本的には事業創出ユニットがフロントで対応します。しかし商談相手によっては、事前に技術営業メンバーと提案内容のすり合わせを行ったうえで、初回の商談に臨む。こうしたルーティンを組むことで、専門的な質問にもその場で対応できる体制を整えています。

──技術営業チームも、売上や成約数をミッションとしているのでしょうか。

 技術営業のKPIはアップセル/クロスセルを重要視しています。我々のビジネスモデルは、プロジェクトが完了すると契約が終わってしまう、ストック性の低いフロー型なので。常に新規顧客を開拓し続けないと成長が止まってしまうという課題があります。そのため、既存顧客からのアップセル/クロスセルを獲得することで既存顧客のLTVを向上させることを意識しています。

 一方でサイキンソーには、食品の機能性を評価する「受託解析サービス(研究プロジェクト)」や、約20万件の検査データの中から顧客の商材に近いものを確認できる「細菌叢データ提供サービス」があります。

 これらのサービスメニューを、技術営業が既存のプロジェクトを深く掘り下げ、効果的に連携させて提案することで、アップセル/クロスセルが見込めると考えました。

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 たとえばヨーグルトメーカーさまへの提案を例に挙げましょう。まず、すでに蓄積されたデータの中で「ヨーグルトを食べている人が、腸内環境にどのような影響を受けているか」という傾向を「データ提供サービス」で見ていただきます。そのデータで傾向を把握していただいたら、次に「受託解析サービス」で小規模な検証を行い、さらに本格的な臨床試験へとステップを踏んでいただく。こうした流れを組むことで顧客のLTV向上を目指しています。

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2期連続で売上高150%を達成 フロー型ビジネスの「ストック化」へ

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この記事の著者

SalesZine編集部 高橋愛里(セールスジンヘンシュウブ タカハシアイリ)

1992年生まれ。新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://saleszine.jp/article/detail/7666 2025/11/11 07:00

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