なぜパートナーマーケティングが注目を集めているのか
近年、日本企業においてパートナーセールス・マーケティングの重要性は急速に高まっている。
その背景には、直販モデルに依存する従来の営業・マーケティングが限界を迎えつつあるという現実がある。
まず、広告費の高騰だ。2024年の日本の総広告費は、過去最高の7兆6,730億円に達した。広告チャネルは検索、SNS、動画、リテールメディアなどに細分化し、各チャネルでの最適化・運用が不可欠となっている。こうした環境変化はコストと工数を押し上げ、従来の広告依存型モデルでは費用対効果の維持が難しくなっている状況だ。実際、IDEATECH 2025「BtoBマーケティングの施策別CPA実態調査」によれば、リード獲得単価が高騰していると答えた割合が44.5%にのぼっている。
加えて、深刻なのが人材不足だ。厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和7年7月)」によれば、営業職業従事者の有効求人倍率は2.15倍と、全職業計(1.28倍)を大きく上回っており、営業人員の採用は他職種に比べても競争の激しさが増している。加えて、新規求人倍率は3.66倍に達しており、採用市場における営業職の需給ギャップは一層顕著で、直販体制を拡張するうえで大きな制約となり始めている。
参照:電通「日本の総広告費」、厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年7月)」
「広告投資の効率悪化」と「営業人材の不足」という二重の制約が直販モデルに重くのしかかっている。これが今の直販における大きな課題だ。
そこで、効率的かつ持続的に市場を拡大するための現実的な解決策として、既存の販路や顧客接点を持つパートナー企業との協業が注目されている。
海外ではすでに体系的なパートナープログラムが主流となり、日本でもSaaSや製造業を中心に導入事例が広がりつつある。しかし現状、日本企業の多くはその重要性を認識しながらも、投資や体制の整備には十分に踏み切れていない。
そこで、「パートナーマーケティングを実現するPRM」を提供する当社は、日本におけるパートナーマーケティングの成熟度を明らかにするべく、パートナービジネスに取り組むビジネスパーソン355名を対象に実態調査を実施。『パートナーマーケティング白書 2025』に取りまとめた。
パートナービジネスの課題は「スキルやモチベーションのばらつき」が最多

パートナービジネスの課題に関する設問では、「パートナーごとのスキルや理解度の差が大きい」「パートナーのモチベーションを維持・向上する仕組みがない」(同率34%)がもっとも大きな課題であることがわかった。また、「パートナーの稼働状況がわからない」「有効な施策がわからない」など、ナレッジやデータ不足に起因する課題も生じている。
スキル不足は育成コンテンツの設計、モチベーションのばらつきは、ランク制度や共同マーケティング施策の整備などで解消していくことが一般的だ。パートナーマーケティングが求められる背景には、既存のパートナービジネスの構造的な課題があることがわかる。
