はじめに
こんにちは。セールスリクエストの原です。私たちはインサイドセールスを軸に、数多くの企業の営業支援を行ってきました。前回のインタビュー記事では、インサイドセールスの王道である行動量の徹底、そしてエンタープライズ企業を狙うためのアプローチについてお話ししました。
前回記事
本稿では、前回記事でも触れた「カスタマーインサイドセールス(Customer Inside Sales、以下CIS)」についてあらためて整理し、その役割や導入メリット、立ち上げのポイントを実践知とともに解説します。
なぜ今「カスタマーインサイドセールス」なのか? CSとの違い
現在、SaaSやBtoBサービスの拡大・複雑化により、アップセルやクロスセルといった“攻め”の提案が不可欠になっています。
しかし、顧客接点の希薄化や、縦割り組織による横展開の難しさ、さらにはテックタッチ運用による機会損失といった構造的な課題を背景に、CS(カスタマーサクセス)単独ではその役割を担いきれなくなってきています。
こうした“空白地帯”に対し、営業目的でアプローチし続けるのがCISです。「関係性の再設計」「ニーズの可視化」「機会の掘り起こし」において真価を発揮し、新たなビジネスチャンスを創出する役割として注目されはじめています。
では、CSとCISは具体的に何が違うのでしょうか。
従来、既存顧客の支援はCSが担ってきました。CSの活動は活用・定着支援が中心であり、継続率や満足度の向上といった“守り”の指標が重視されます。一方で、CISは受注件数や提案率、LTV最大化といった“攻め”の指標を明確に持っています。
CSは「顧客の課題を解決する」ことに主眼を置くのに対し、CISは「顧客の成長を提案する」ことに特化する──言い換えれば、CISは“売るために顧客に伴走する”営業チームと言えるでしょう。
“守り”と“攻め”の共存が、LTV最大化につながる
もちろん、CSがアップセル・クロスセルを担っている企業も多いと思います。けれども、日々の活用支援や問い合わせ対応に追われ、営業的なアプローチにまで手が回っていないケースも少なくありません。
また、CS担当者は営業経験者でないことも多く、“攻め”の提案を行う姿勢がインストールされていないケースもよく見られます。営業スキルや経験といった「セールスの専門性」を持ち合わせていなければ、顧客のエクスパンション(利用拡大)を担うのはなかなか難しいのです。
まさにここに、CISという専任の営業チームを導入する価値があります。CSが「満足度を守る」存在であるとすれば、CISは「成果をつくる」存在。それぞれが専門性を高め、互いの役割を理解しながら連携するからこそ、成果の最大化につながるのです。
次のページでは、CISの活動内容と、CIS導入企業が実際に出している成果についてご紹介していきます。