再注目される“CxOレター” 大手企業開拓の一手に
──昨今、大手企業へのアプローチを課題とする企業が増えているように思います。その背景を教えていただけますか。
ここ数年、展示会や交流会に行くと、ほとんどの企業から「大手企業との取引を増やしたい」という声が挙がります。短期間での売上を追求するならSMB向けの営業が効率的ですが、自社サービスをより高く評価してもらい、長期的な取引が期待できる大手企業との関係構築は強い魅力を持っています。
しかし、大手企業にアプローチする方法は基本的に4つしかありません。ひとつはイベントや展示会です。しかし「ターゲットとなる企業も参加してくれたら良いな」というアプローチでは、狙った企業の意思決定者に会える確率は低いですね。ふたつめは、招待制などのクローズドなイベントを開催する方法。ターゲット層との接点が生まれる可能性は高まりますが、費用も手間もかかります。
3つめは顧問や元社員などのリファラル、つまり紹介を活用する方法。そして4つめが代理店経由のアプローチです。これらはもっとも確度の高い方法ですが、件数が限られるため、スケールが難しいという課題があります。

そんな中で注目を集めているのが「CxOレター」です。かつて広く活用されていた手法が、今再び見直されています。
──改めて、CxOレターとはどのようなものか教えてください。
CxOレターとは、経営層や部門責任者など意思決定者に向けて、カスタマイズした手紙を送り、アポイントメントを獲得する手法です。メールアドレスがわからない、人脈もない、イベント開催の予算もない、社長のつながりも活用できない──。「でも、あの会社とつながりたい」という企業にとって非常に有効な手段です。
古くからある手法のため、多くの企業がすでに実施したことがあるでしょう。私達が話を聞いたかぎりでは、6割程度の企業が「CxOレターを送ったことがある」と答えます。しかしそのほとんどが、CxOレターの“成功のセオリー”をきちんとやり切れていないのが実態です。
たとえば送る相手や文章などのセオリーを守らず、「とりあえず社長に送ろう」となんとなく送る安易なアプローチをして、結果につながらないケースが非常に多いですね。実際、CxOレターの方法論を詳しく説明すると、前向きな反応もありますが、やはり「そこまでやるの?」という反応も少なくありません。