NRR107%を達成。効率化と予測的活動へのシフトが進む
──これらの取り組みの成果を教えてください。
棗田 業務における優先順位の見直しと効率化が進み、定常業務を14%、問い合わせ対応を20%削減しました。業務全体では15%の削減を実現しています。
平野 残りの85%の業務も、意思決定の迅速化により「後手・受け身」から「予測的・能動的」な活動へと大きく変化しました。その結果、NRR(Net Revenue Retention:売上継続率)107%を達成したほか、カスタマーサクセスの介在によるチャーン防止2件、大規模なアップセル1件につながっています。
また、チャーン発生直前の状況把握が可能になったことで、個別案件の対応に留まらず、全体のオペレーション改善にPDCAサイクルを回す仕組みが構築されました。
樫木 VOC管理についても、感覚的な判断から構造的な判断に基づく体制へ移行したのは大きな変化です。優先順位付けに費やしていた時間を削減し、その時間をユーザーリサーチやインタビューに再配分することで、顧客体験をより広範な視点で捉える体制が整いました。将来的には、プロダクトと市場のギャップを埋めることにつながると期待しています。
「ラストワンマイル」の介在価値が事業を伸ばす
──最後に、今後の挑戦とメッセージをお願いします。
棗田 今回構築した仕組みを通じてノウハウを蓄積し、優先順位の判断や示唆の精度をさらに高めていきたいと考えています。
継続利用とアップセルが事業成長の基盤となるサイクル型のビジネスにおいて、顧客ともっとも近いカスタマーサクセスは「成長のエンジン」と言えます。データ基盤とAIエージェントを活用して顧客と向き合う時間の質と量を向上させ、カスタマーサクセスにしか生み出せない価値創造に集中することが、事業の最大化に直結するでしょう。
樫木 今回の仕組みについては、顧客の課題を深く理解できているか、そして事業の意思決定に貢献できているかという視点で検証を続けます。
VOCの背景にある体験や構造まで掘り下げて考えることが事業への貢献につながるので、受け身ではなく、能動的にVOCを取りに行く姿勢を大切にしたいですね。軸をもって試行錯誤していくことで、カスタマーサクセスがどのように事業に貢献するかの道筋が見えてくるのではないでしょうか。
平野 2026年4月からのグループ再統合を機に、今後はアップセル/クロスセルなどマルチプロダクトな戦略や、他商材へのノウハウ展開にも積極的に挑戦していきたいと考えています。
AI活用が進んでも、顧客と企業の「ラストワンマイル」を担うのは人の役割です。収益とプロダクトバリュー向上の両方を担う唯一無二のポジションであるカスタマーサクセスを、今後も盛り上げていきたいですね。

──本日はありがとうございました!
