どの組織にも共通する、営業の「型」とは?
前回の記事で、営業の「型」とは、誰でも一定の成果を出せるように整理された営業の勝ちパターン(共通のやり方)であること、そして、型には2種類あることを解説しました。
今回はそのうちの一つ、「どの組織にも共通する営業の“型”」、つまり営業における普遍的な原理原則について解説します(表の赤枠部分)。

2. 組織ごとに作るべき営業の型=自社特有の型
前回記事【第1回】
すべてをここで書くのは無理があるのですが、イメージしやすいように少し具体的な中身について見てみましょう。
「知識」の具体例
知識には「営業知識」「業界知識」「商品知識」「競合知識」の4つの要素があります。
商品知識の研修(勉強)はどの会社でも必ず行っている印象ですが、競合知識や業界知識について体系的に学ぶ機会はそれほど多くない印象を持っています。
しかし、競合や業界について深く理解することは、お客様への説明に説得力を持たせ、営業パーソンを“その道の専門家”として際立たせます。それがお客様からの信頼獲得につながるのです。
「スキル」の具体例
スキルは、「信頼関係構築スキル」「ヒアリングスキル」「提案スキル」「クロージングスキル」などがあります。
例としてヒアリングスキルには、有名な「SPIN話法」があります。これは状況質問、問題質問、示唆質問、解決質問という4つの質問に分けて聴き、顧客が自分自身の意思で「問題を解決しよう」「商品を購入しよう」と検討してくれるように促すトークスキルです。
「習慣・管理」の具体例
習慣とは「成果を出すために繰り返す日常の行動パターン」のこと、管理とは「目標に向けた進捗を確認し、改善を促すプロセス」のことです。
「組織のKGI(最終的なゴール)は何か?」「そのためにはどのようなKPI(ゴールに至るまでのプロセスを管理する中間目標)を設計する必要があるか?」といったことを知るのがこのプロセスです。
「心構え」の具体例
営業としての「心構え」については、組織的に教えているような会社は皆無に近いです。なぜなら心構えはとくに言語化がしづらい要素だからです。
そのうちの「顧客マインド」は、営業の役割を再認識することからその重要性がわかります。あなたは、営業の役割は次のうちどちらだと考えていますか?
- 顧客に自社の商品・サービスを売ること
- 顧客の課題を解決すること
当然、前者がないと売り上げが立たないので、間違いではありませんが、営業の本質的な役割は「顧客の課題を解決すること」です。顧客の課題とは何か、それを解決するとはどういうことなのか。これらを「知る」の段階で学ぶのです。
そのほか、「成長マインド」は、自分を成長させるため、成果をあげるためにできることはないか常に探す姿勢です。
営業の世界では、目標を達成し続けるとその社内では「神」のように崇められることも多く、トップセールスの視座の高さでその会社の伸びしろが決まる側面があります。
大谷翔平選手が、決して現状に満足することなく挑戦し続けているのはご存じのとおりでしょう。彼のような高い視座を持つ選手がいるドジャースは、メジャーリーグで優勝し、彼が牽引した2023年のWBC日本代表も世界一に輝きました。
トップセールスもまた大谷選手と同じように、営業の世界で飽くなき挑戦を続けています。組織としてはこの成長マインドの重要性を説き、営業パーソンの視座を上げるような働きかけをする必要があるのです。