何に時間を使っているのか? 可視化・改善の方法
営業の本分における時間配分をお伝えしてきました。次に、いわゆる「ノンコア業務」に脳内と時間を使わないための具体的な方法を4つお伝えしていきます。
1.カレンダーを色分けする

まずは自分のカレンダーを1ヵ月分振り返り、平日の勤務時間中に何をしているか、色分けして必ず情報を入れてください。定量的に自分の業務を把握すれば、緊急度・重要度が低いのに時間を割いている業務が浮き彫りになります。
ただし、食事の時間は削らないでください。必ず30分は確保することが、集中力維持のために重要です。
2.「目的のない学び」は優先度を下げる
学習の時間も、自分の成果に直結するかで判断します。優秀な営業は、「この学びを深め、具体的にこの業務課題を解決したい」と、業務への活かし方を想像したうえで学んでいます。成果に紐づけられる学びであれば優先度は上がります。そうではない、漠然とした「インプット」は潔く優先度を下げるべきです。
目的意識が強い活動は充足感も得られやすく、逆に成果に遠いことに時間をとられていると「忙しい」という感情は消えません。
3.ノンコアな時間の「断捨離」
時間は、投資したリターンで考えるべきです。リターンのない時間の過ごし方はやめましょう。
- だらだら動画を見続ける時間
- 何にもつながらない会合
- 会食の二次会(リレーションを深く築きたいキーパーソンが参加する場合を除き、帰宅しても問題ないでしょう)
4.交通手段に「投資」する
公共交通機関で40分かかる移動を、タクシーで15分に短縮する。この25分の捻出は、重要な打ち合わせ前の準備、電話確認、考えをまとめる時間に投資できます。移動時間を「空白の時間」にせず、有効なインプット・アウトプットの時間に変える視点を持てば、交通費は経費ではなく「時間への投資」になります。
マネージャーへの提言 忙しさを生む「組織の隙間」を埋めよ
最後に、個人の努力では解決できない、日本型組織の構造的な問題に触れます。欧米の「レンガ型」組織がジョブディスクリプション(職務記述書)で役割を明確に積み重ねるのに対し、日本企業は「隙間型」になりがちです。
個人的にはこの日本型の組織構造自体が悪いとは思っていません。ただ、明確な担当者がいない「隙間」を、正義感が強く優秀な人がつい拾ってしまい、結果的に急激な負担を負って忙殺されるという悪循環を生んでいます。
この背景にあるのは、業務プロセス、とくに営業プロセスの設計不足です。
責任の曖昧さが負担を生む
ネガティブなインシデント発生時、「結局誰がやるのか」「誰が悪かったのか」と責任の所在が曖昧になり、優秀な人材ほど無関係な業務に巻き込まれていきます。
プロセスの「真似」は本末転倒
急成長を目指すあまり、他社の成功プロセスを形式的に真似し、オペレーションばかりが増えて、本質と関係ないノンコア業務が増加していないでしょうか? これでは忙しいだけで、本末転倒です。
先ほどの提言にもありましたが、マネージャーも、無作為にメンバーを抽出して、「営業の本分である活動(商談や戦略構築)にどれだけ時間を割けているか」を可視化してください。
忙しいだけの集団から卒業し、全員が「成果に直結する時間投資」ができる真のプロフェッショナル集団を目指していきましょう。
