DXからAXへ イトーキが挑む、二本柱の経営戦略
発表会の冒頭、代表取締役社長の港氏は、なぜ創業130年を超える老舗家具メーカーが「AI経営」に舵を切るのか説明した。
「AIの導入によって私たちが得ようとしているのは、ひと言で言えば『時間』です。AIは時間を買うための手段であり、たとえば、AIによって1年かけていた業務を四半期で完了できれば、利益は4倍速で拡大する。AIにより、指数関数的な利益成長がもたらされるのです」(港氏)
同社のAI経営は、データドリブンなオフィスの生産性向上支援をAIで加速させる社外戦略、同社の業務オペレーションおよび経営にAIを活用し、働き方を変える社内戦略の二本柱で構成される。社内で培った実践知を社外へ展開し、自社のビジネスを成長させる循環を生み出すのだ。
「イトーキでは『構え、撃て、狙え』という、まず動いてから調整していくカルチャーを徹底してきました。このスピード感とAI活用が今、フィットしたのです。このあとの発表では、今まさに挑戦しているものも含めて、倍速で進化していく姿をお見せします」(港氏)
「ITOKI OFFICE AI AGENTS」が放つ3つのソリューション
続いて、常務執行役員の八木氏より、社外向けのAI戦略「OFFICE3.0事業」における新ソリューション「ITOKI OFFICE AI AGENTS」の詳細が発表された。
「AIが台頭し変化・不確実性・加速が進む時代、オフィス領域はその流れに追従できていないのではないか。その課題感が『OFFICE3.0事業』の起点です」(八木氏)

OFFICE3.0事業では、時代やビジネスの変化に合わせて、顧客のオフィスをデータドリブンにアップデートさせる。その中で、「オフィスが人的資本にもたらす影響を科学的に理解し、自社の競争力や成長につなげたい」という経営層のニーズに応えるには、膨大なデータを分析し、オフィスを解像度高く多元的にとらえなければならないと八木氏。加えて、顧客企業の担当者自らがオフィス改善のPDCAを高速化する必要があるという。
こうした背景からイトーキは、「High-cycle/AI」を実現する「ITOKI OFFICE AI AGENTS」を開発。2026年には3つのソリューションをリリースすると発表した。
1.「全拠点、俯瞰。」Facility Portfolio AI

複数拠点の利用状況をリアルタイムで一元把握する。変化の予兆を自動検知し、最適化すべきタイミングをアラート通知。面積配分や必要席数、入居組織などの即時シミュレーションやチャット相談も可能であり、余剰面積の削減に留まらず、コミュニケーション活性化や業務平準化といった改革につなげる。
2.「誰もが、専門家。」Workplace Insight AI

図面やアンケート、方針資料といった多様なデータの意味やつながりを統合・分析する。これまではコンサルタントの暗黙知に基づいていた「課題の発見」と「具体的な改善策」をAIが生成。担当者が納得するまでチャットで伴走し、意思決定の質を高める。
3.「今すぐ、確保。」Space Matching AI

フリーアドレスの普及に伴う予約の手間や「空予約」の問題を、センサー内蔵デバイス「TABLE BOX」との連携で解決。不在を検知して空予約を自動開放し、今すぐ場所が欲しい人とマッチングする。前後の予定やメンバー、必要な備品を踏まえたうえでの予約提案も行う。

