優秀な営業が実践する「成果のための時間投資術」
一方で、成果を出し続け、どこか余裕を感じさせる「デキる営業」はどう時間を使っているのか。彼らと普通の営業の違いは、目の前のタスク処理能力ではなく、「優先順位づけ」にあります。
常時接続の環境下で、優先順位がコロコロ変わっていては仕事を前に進めていくのは難しいでしょう。ここから、私自身の経験も踏まえ、具体的な優先順位のつけ方について解説していきます。

まずは「営業の本分」を軸にする
まずは、「営業パーソンとして求められているものは何か」と考えることです。最近流行している「事業開発」や「社内改善」も事業継続のためには重要ですが、極論、それは「目標達成」という営業の本分をクリアしたあとの仕事です。まず、求められた数字の目標を達成し続けることからブレてはいけません。
優秀な営業パーソンほど、「成果のためにいかに時間を投資できるか」に軸足を置くことを徹底しています。
時間投資の真髄 「アップサイド」案件への集中
営業において成果を上げるためには、当然案件数が必要です。私は案件を確度に応じて3つに分けていました。
| 案件の種類 | 定義 | 確度 |
|---|---|---|
| コミット | 今期達成を上司に確約する、もっとも確度の高い案件群 | 高 |
| アップサイド | お客様のタイミングや、営業側の要因によって、コミットが受注できなかった場合に備えた案件群 | 中 |
| パイプライン | 連絡先はあるが、まだ会ったことのない方も含むような、やわらかい案件群 | 低 |
多くの営業パーソンは、「会社に報告している数字だから」とコミット案件に時間を割きがちです。しかしこれは、危険な時間配分。なぜなら、そのコミット案件のひとつが頓挫した瞬間、「ふわっとしたパイプライン」しか残らず、巻き返しが不可能になるからです。
成果を出し続ける優秀な営業は、「アップサイドは未来のコミット」だと知っています。彼らがもっとも時間を投資するのは、このアップサイド案件。そうすることで、仮にコミット案件がうまくいかなくても強固なバックアッププランがあるため、目標達成の見込みが揺らぎません。ぜひ今日から、この意識に切り替えてください。
パイプラインを自らつくり、「初めまして」の商談を増やす
そして、パイプラインは、マーケティング任せにせず、営業が責任をもって把握すべきあなたの数字を組み立てる資産です。
パイプラインに対し、「どのタイミングでアップサイドになり得るか?」「次に会うためのコンテンツやコミュニケーション設計は?」と能動的に関わり、アポ確度の高い案件を増やすことが、将来の余裕を生む鍵となります。
とくにエンタープライズ営業では、案件を進めるには多くのキーパーソンと会う必要があります。そのため、行動目標として週に設定するアポイント(たとえば10〜15件)のうち、6〜7割を「初めまして(新規接点)」の打ち合わせにすることを目指すべきです。
これは、15件のアポがあれば9件を新規(パイプライン育成・アップサイド化)に、残り6件をコミット案件の推進に使うというバランス感覚。未来の成果のために、意識的に「初めまして」の接点に時間を投資してください。
