大学院在籍中よりソフトウェアベンチャー立ち上げに参画後、大手総合系コンサルティングファーム勤務、IoTなどを手掛けるIT企業役員を経て現職。現在は専修大学大学院にて客員教授も務める。 EYストラテジー・アンド・コンサルティング のカスタマーエクスペリエンス・トランスフォーメーションにて、ビジネス成長のドライバーとなる戦略策定(サービスデザイン)から顧客接点改革(マーケティング、営業、コンタクトセンター、カスタマーサクセスなど)の実現までを総合的に支援するチームのパートナーを務める。直近では、CROアジェンダのオファリングリーダーを務める。
営業と会う時間はごくわずか 「営業不要論」の正体
海外のレポートでは、「営業は不要ではないか」というショッキングなデータが示されています。
BtoBビジネスにおいて購買者が意思決定に費やす全時間のうち、営業と会う時間は非常に限定的であるとされています。もし複数の競合他社を比較検討している場合、1社あたりの接触時間は数%まで削ぎ落とされることになります。
背景にあるのは、ウェブやAIの普及による情報のオープン化です。顧客は営業に頼らずとも自ら情報を収集し、比較検討を進められるようになりました。
その一方で、BtoBソリューションの導入における顧客側の意思決定は、かつてないほど複雑化しています。ひとつの案件に関与する意思決定者は複数人いることが多く、それぞれが独自の情報を持ち寄ります。購買決定に至るには、このグループ全員と合意を取り付けなければなりません。
実際、購買者の大半が「社内の意思決定は困難を極める」と感じています。営業と会うよりも、社内の合意形成や調整にリソースを割いている。これが「営業不要論」の背景です。
購買決定を左右するのは「営業から得られる体験」
一方で、興味深いデータもあります。購買者の53%が、購買時でもっとも影響を受けたのは「Sales Experience」、つまり営業から得られる体験だと回答しています。
会える時間が限られているからこそ、その接触においていかに的確で「適射度」の高いアクションを起こせるか。そこで求められるのが「バイヤーイネーブルメント」という考え方です。
「バイヤーイネーブルメント」とは、顧客が自社内の購買プロセスを円滑に進められるよう、営業が顧客を動機づけ、教育し、意思決定を支援することを指します。
「売り込む」のではなく、「顧客が買えるように導く」。顧客のほうから扉を開けてもらえるような働きかけこそが、現代の営業に求められる価値なのです。

