「点」から「面」のアプローチへ デジタルセールスの新たな挑戦
──2025年度より、富士通のデジタルセールスはアカウント・ベースド・セリング(Account Based Selling 以下、ABS)に注力しています。この方針に至った背景を教えてください。
重松 一般的に、日本企業は分業することがむしろ顧客満足を下げるのでは、と考えていますよね。そうではなく、むしろ分業してさまざまな職務の人が顧客をアプローチするほうがむしろ満足度が上がると思うのです。
ABSは、フィールドセールスとインサイドセールス、マーケティングなどがチームを組み、顧客を手厚くカバーすることで、企業と長期的な関係を構築し大きな成果を生み出すことを目指すアプローチです。
今までひとりの担当営業が先発完投型で顧客対応してきた富士通も、顧客のLoB(Line Of Business)部門を含め、全部門とさらに広く深く長く信頼関係を築いていくことが必要だと感じています。そこで、デジタルセールスは、フィールドセールスとより強固なチームを組むバディとなって顧客と向き合い、富士通のRevenue Engineになりたいと思い、ABSに注力することを決めました。

重松 ABSは、顧客の成長戦略への貢献を目的としています。中期経営計画やウェブの公開情報といった顧客データを活用したプランニングを行い、顧客を深く理解することから始めます。そうして顧客を深く理解し、複数のキーパーソンへの継続的なアプローチとリレーションシップの構築、新規商談の発掘、停滞している商談のフォローを通して、新たなビジネスにつなげていくわけです。
実は、この取り組み自体は2024年度からすでに開始していたんです。それをデジタルセールス全体の方針として掲げたのは、ソリューション起点のアプローチで白黒つけて終わりでは、顧客に対して幅広く長期的な関係を構築することが難しかったからです。そこで、ソリューションによる“点”のアプローチに加えて、アカウント軸で顧客を“面”で捉えるアプローチをメインに活動を展開することにしました。
富士通は取り扱う製品やサービスが非常に幅広く豊富な分、あらゆるLoB部門に対応して提案が可能です。そのため、ABSにより顧客のさまざまな部門へアプローチすることで、さらに富士通ならではの強みにつながると言えますね。