経営と現場をつなぐ AI時代に求められる営業企画の役割
高橋(SalesZine編集部) 今回の講演は「営業企画の新たな役割」をテーマに、AIをどう現場に実装していくかにフォーカスしてお話をうかがいます。まずは森さん、KDDIさんの取り組みからうかがえますか?
森(KDDI) KDDIの法人部門ではKDDI-BX(ビジネストランスフォーメーション)戦略室を立ち上げ、「お客様への提供価値向上」「営業人財の早期育成」「経営判断の迅速化・高度化」という3つの課題解決を目指し、営業改革を進めています。
KDDI株式会社 ビジネス事業本部 ビジネスデザイン本部 企画統括部 ビジネストランスフォーメーション戦略室長 森 千鶴氏
2010年にKDDI株式会社へ新卒入社。モバイル通信品質に関する技術サポートセンターにて法人のお客さまの声の分析を含めた企画業務に従事後、2019年より法人営業方針・戦略系領域に従事。2024年よりビジネストランスフォーメーション戦略室にて、次世代を見据え、AIやデータを活用した営業プロセス改革、生産性革新、人財育成、組織改革を横断的に推進。タウンホールMTGやワークショップを活用しながら、経営層から現場まで含めたインナーコミュニケーションによる組織活性化を目指す。
改革は、「攻め」と「守り」の2軸で構成しています。攻めは、活動の標準化やAI利活用、データの蓄積・可視化により、属人的な営業からチーム営業へスケール化させる「営業スタイルの転換」。守りは、お客様との対面時間を現状の23%から40%まで引き上げる「営業出力の強化」です。
高橋 対面時間をほぼ倍増させるという目標は、営業組織にとって極めてインパクトが大きいですね。
森 ええ。まだ道半ばですが、AIの大きな波を追い風にしながら、現場を置き去りにしない改革を目指しています。
そのために重要なのは、営業のあるべき姿を徹底的に議論すること。戦略全体はバランススコアカード(BSC)で整理し、財務目標から顧客価値、業務プロセス、人財育成までを1枚の戦略マップに落とし込んでいます。アカウント戦略WGや営業プロセスWG、AI活用WGといった複数のワーキンググループがバーチャル組織として動いていて、経営目標と現場施策を一気通貫でつないでいます。
高橋 あるべき姿から逆算してアプローチされているのですね。一方でfreeeさんは、どのような課題感から改革をスタートされたのでしょうか。
山本(freee) freeeの場合、組織やお客様に提供できる価値が急拡大する中で、ハイパフォーマーが持つ暗黙知を形式知化して組織全体に広げること、ひとりあたりの生産性を定量的に観測しながら引き上げていくことは、まさに生存戦略でした。その一環として、現在はAI活用に注力しています。
フリー株式会社 ビジネス基盤本部 業務企画部 部長 山本 晴香氏
人材業界において約7年間、営業(人材紹介・キャリアアドバイザー)および人事(新卒採用マネージャーなど)を経験した後、2019年にフリー株式会社に入社。セールスおよびセールスマネージャーを経て、SMB領域のSET・Sales Ops部門を立ち上げ。セールスと企画の両領域で6年にわたり従事する。現在は、多岐にわたるキャリアを活かし、マーケティングからセールス・カスタマーサクセスに至るまでの業務改革(BPR)およびAIを活用した生産性向上を推進。
しかし、私たち企画チームが担うべきミッションは、単にAIをとり入れることではありません。お客様にとって本当に価値がある行動をする「マジ価値」のカルチャーを実現するため、サービス、組織、文化、プロセスのすべてを再構築することだと捉えています。
そこで、AI導入に着手する前に取り組んだのがRevOps(レブオプス、Revenue operation)の構築です。お客様へのアプローチを最適化するため、フォーキャスト管理や顧客情報管理の仕組み、プロセスやアクションを再設計しました。そうして全体最適化したプロセスを踏まえて、AI活用を推進しています。

また、業務企画チームの半数は、営業やカスタマーサクセスなどの現場経験を持つメンバーです。私自身、営業現場のマネージャーを経て今の企画職に就いたため、現場の痛みと企画の難しさ、その両輪を意識して取り組んでいるのも、freeeの特徴ですね。

