商材選定やデリバリーも見据えた「目利き」による仮説づくり
──仮説によって具体的な提案が可能になったとのことですが、その質の高い仮説を構築するためのポイントは何でしょうか?
朝倉 顧客へ提案する前には、まず自社のケイパビリティを深く理解していることが不可欠です。どんなに顧客が課題を抱えていても、それが自社のビジネスにつながらなければ商談にはなりません。そのため、プランニングチームは、仮説と自社ケイパビリティをつなげることも常に意識して活動しています。
また、仮説の質を上げていくうえで、顧客目線で課題を捉えるデジタルセールスと、富士通の商材を熟知したプランニングチームが同じ組織内で密に連携し、仮説をアップデートできているのがまさに私たちの強みだと感じています。
──顧客への深い理解はもちろん、富士通の多彩な製品群を理解し、適切な提案をするのも非常に難易度が高いと感じます。その点はどのようにカバーしているのでしょうか。
朝倉 とにかく扱っている製品が多いですから、すべてを網羅的に理解するのは難しいです。たとえば、顧客の規模や課題にあった製品か、SEや事業部の体制も間に合いそうかなど、プランニングチームは“目利き”の視点で見極めるようにしています。
もちろん、フィールドセールスも当然その意識は持っていますが、日々の業務に追われる中でそこまでやりきれないのが現状だと思います。だからこそ分業し、ABSとして密に連携し推進していくことが重要だと考えています。
仮説の精度を高め、「資産」として未来へつなぐ
──最後に、今後の展望についてお聞かせください。
重松 今後の展望として、プランニングチームとの連携を通じて、立てた仮説が実際の活動でどうだったかを一緒に振り返りながら、仮説の精度をさらに高めていきたいと考えています。
仮説の精度が上がることは、組織全体の成果やスピードアップにつながりますし、顧客との信頼関係にも良い影響を与えるはずです。単に役割不明な部署を洗い出すだけでなく、既存商談にも良い影響を与えていくような、密なコラボレーションをさらに深化させたいと思っています。
朝倉 私たちが調査・仮説検証を経て顧客から得た情報は富士通にとって貴重な知見であり、まさに「会社の財産」です。顧客が何を求め、何が響き、どんな課題が解決できたのかといった情報は、富士通全体の資産として活用できるよう、積極的に蓄積・フィードバックし、結果として、顧客提案や製品・サービスの進化につなげ、顧客に還元できるようにしていきたいです。

──AIを活用した「攻めの仮説」が、これまで突破できなかった「ゼロイチの壁」を超え、デジタルセールスのABS推進を牽引している様子が伝わってきました。本日はありがとうございました! 第4回では、この連載タイトルでもある「富士通アカウントバディ」のさらなる挑戦についてうかがっていきます。お楽しみに!