Salesforceが世界24ヵ国を対象に実施した第2回のCIO調査によると、企業のAI導入は昨年比で282%増加していることが明らかになった。

調査結果の詳細
CIOはためらいの段階から実装の段階へと移行
- 昨年、CIOの43%が「自社はAIで競合より先行している」と感じていたが、今年はその割合が61%に増加した。
- AIの全社的な導入は2024年以降282%(11%から42%)増加した。
- AI予算はほぼ倍増しており、CIOはそのうち30%を自律型AIに充てていると回答。
- CIOの96%が、自社では現在すでに自律型AIを利用している、もしくは今後2年以内に利用する予定があると回答。
企業全体でAIに対する自信が向上
- CIOの75%が、1年前と比べて現在の自分の役割により自信を持っていると回答。
- CIOの97%が、1年前よりAIについて理解が深まったと回答。
- CIOは、自社が2024年と比べて、今年はさまざまなAI要素で改善していると評価しており、その内容には次が含まれる:
‐従業員のスキルセットの向上(+43%)
‐AIの成功指標/KPIを特定する能力の向上(+33%)
CIOは単なる技術リーダーではなく、変革のリーダーとして台頭

- CIOは、自律型AIの導入によって自身の役割と重要性が高まった結果、ほかの経営幹部よりもCEOともっとも緊密に連携していると回答。
- また、CIOの94%が、AIエージェントの活用により自身のスキルセットを拡張する必要性が高まったと回答。
- CIOは職場で、従来想定されていなかったスキルの習得にも取り組んでおり、とくにハードスキルよりソフトスキルの強化に注力している。
- 自律型AIへの備えとしてCIOが向上させた主なスキルは次とおり:
‐61%のCIOが、リーダーシップスキルを向上させている。
‐57%のCIOが、ストーリーテリングおよびナラティブ構築のスキルを向上させている。
‐55%のCIOが、チェンジマネジメントおよびコミュニケーションスキルを向上させている。
サービス部門がAI実証の場に


- CIOの65%が、自律型AIの導入により顧客サービス部門とこれまで以上に緊密に連携していると回答しており、これはほかのどの部門よりも高い割合だった。
- CIOは、自律型AIにおいて、もっとも優れたユースケースを持ち、もっとも熱意が高く、もっとも準備が整っており、もっとも導入が進んでいる部門として、顧客サービスを第1位に挙げている。
この結果はSalesforceの最新の「エージェンティック エンタープライズ インデックス」と一致している。
Agentforceの利用データによると、2025年上半期においてAIエージェントが主導した顧客サービスでの対応件数は平均で22倍に増加している。
組織におけるAIの拡大に不可欠な部門横断連携と、依然として残るギャップ
- 81%のCIOが、AIエージェントの導入により、人事、財務、営業などの他部門とこれまで以上に緊密に連携する必要性が高まったと回答しているが、現在それを実行できているのは半数未満だった。
- 93%のCIOが、職場におけるAIエージェントの成功には、日々の業務の流れに統合されていることが不可欠だと回答。
- 61%のCIOが、すでに利用している信頼できるベンダーへの投資を優先すると回答しており、APACのライフサイエンス業界に絞ると、「AI関連技術を広範なテクノロジーエコシステムに適切に統合すること」がAIエージェントの世界で必要とされる重要な進歩だとされている。
小売業界のCIO調査回答者のコメント:
「私の役割においては、AIの可能性と限界について事業部門をコーチングし、適切に導くことが重視されるようになりました。AIには大きな期待が寄せられており、それは過去のいくつかの新興テクノロジーを上回るほどですが、私たちのビジネスでは現実的な活用を前提とした理解が不可欠です。AIを導入し、その価値を最大化するためには、十分な教育が必要であり、それが欠ければ付加価値を生まないままコストだけが急速に増大してしまいます。また、データとインサイトの可能性を最大限に引き出すためには、部門横断で戦略的にビジネスを整合させる取り組みがこれまで以上に求められています」
最大のボトルネックとして残るデータへの信頼

- 自社におけるAIに関する最大の懸念はデータセキュリティとプライバシーであり、それに次いで信頼できるデータの不足が挙げられた。しかし、自律型AIの導入によりチーフデータオフィサーとより緊密に連携していると回答したCIOは35%にとどまり、IT予算のうちデータセキュリティに充てられているのは14%だった。
- データガバナンスが組み込まれたAIの投資に対して、完全に自信を持っているCIOは、23%だった。
Salesforce CIO ダニエル・シュミット(Daniel Shmitt)氏のコメント
CIOはAIに対する期待を行動へと移し、自律型AIを組織の中で現実的かつ測定可能な形で拡大させています。業務の流れにAIを組み込み、あらゆるステップに信頼を築くことが、より速く、より自信をもって前進する力になるのです。
デブライ大学(DeVry University) CIO クリス・キャンベル(Chris Campbell)氏のコメント
オンプレミスから信頼できるSaaSプラットフォームへ移行したことで、自律型AIを迅速に活用できるようになりました。SalesforceのAIエージェントを学業指導や学生支援の業務フローに直接組み込むことで、インフラの刷新だけでなく、成果の改善につながり、同僚の勤務時間を年間500時間以上削減しています。
Adobe Population Health CIO アレックス・ワデル(Alex Waddell)氏のコメント
SalesforceのCIO調査は、AIが実験段階からビジネスインパクトの段階へ移行していることを示していますが、私たちはまさにその変化を体現しています。Agentforceを臨床業務の流れに組み込むことで、年間100万ドル以上の時間を削減し、医療チームに何千時間もの時間を取り戻すことができました。これこそが自律型AIがもたらす本当の価値です。システムを増やすことではなく、人のための時間を生み出すことなのです。
【調査概要】
調査方法:SalesforceはNewtonXと協力し、二重盲検方式のオンライン調査
調査対象:AMER、EMEA、APACの24ヵ国にわたるグローバルCIO200名
