11ヵ月連続最下位の「地獄」で悟る マネージャーのよくある誤解
現在、多くの営業マネージャーが取り組む「パイプラインマネジメント」。しかしその実態はして、案件のプロセス管理や進捗管理に終始しているケースが散見される。その結果、案件そのものを生み出す「パイプライン・ジェネレーション(案件創出)」のコントロールがおろそかになり、目標達成に向けた戦略的なアクションが遅れてしまうという問題が生じている。
これは営業マネージャーが陥りやすい普遍的な誤解だ。著者である作田氏も、ファーストライン・セカンドラインマネージャー時代にこうした「二度の地獄(挫折)」を経験したという。
「案件受注こそが仕事」という誤解、パイプラインマネジメントをしているつもりで「掛け声マネジメント」に終始していた失敗を乗り越え、27ヵ月連続・7年連続営業予算達成を成し遂げた作田氏の知見と実践を凝縮したのが『パイプジェン・マネジメント:マネージャーのための明るい営業戦略』(作田遼 著、ニューズピックス)だ。
真のパイプラインマネジメントは、ビジネスを創出すること、すなわちパイプラインに案件を投入することで初めて完成する。作田氏は、パイプラインマネジメントを「車」に例えるなら、パイプジェン・マネジメントは「ガソリン」に相当すると述べている。良質で適切な量の案件を継続的に創出し、その投入をマネジメントできなければ、パイプラインは動き出さない。本書では、営業マネージャーの「真の役割」であるパイプジェン・マネジメントの重要性と、その具体的な実践手法を解説する。
パイプジェン・マネジメントの具体と“太陽型マネジメント”
本書の核は、パイプジェン・マネジメントの論理的な仕組みと実践的な手法を7つの章に分けて解説している。
第1章 11ヵ月連続最下位で悟った営業マネージャーの「真の役割」
「案件創出」をマネジメントするパイプジェン・マネジメントの重要性を解説
第2章 基礎を愚直に徹底する「パイプラインマネジメント」
パイプラインマネジメントの3つのステップと、「質」を可視化する期待収益マネジメント
第3章 時間軸で分類するモニタリングの実践
危険信号を3ヵ月以上前にキャッチする期初(仕込み)/期内(即効力)の予測
第4章 データドリブンな「パイプジェン・マネジメント」の仕組み
トップパフォーマーの行動分析から立案する、根本原因にアクションする「質を上げる量的施策」
第5章 セリングスタイルごとの「パイプジェン・マネジメント」の実践
短期・注意・長期の時間軸で分ける3つのセリングスタイルとパイプジェン施策
第6章 再現可能な「プロジェクトセリング」
顧客課題を見極めて“ソリューション”を提案する、ディスカッションペーパーの活用
第7章 実行強度を生み出す「ストーリーテリング」
戦略・施策・KPIを一貫したストーリーで語り、組織全体の可能性を引き出す
とくに第7章は、作田氏ならではの「太陽型マネジメント」が光る。メンバーの納得と信頼を得るマネジメントスタイルは、未来を照らす“明るい”営業戦略という本書のタイトルにも通ずると作田氏は述べる。戦略の実行強度を生み出すマネジメントの思想を学べるのも、本書の特徴だ。
本書は、多くの営業マネージャーが直面する「なぜ頑張っても成果が出ないのか」という問いに対し、「案件創出のマネジメント」という根源的な解を示す一冊である。著者の実体験に裏打ちされた再現可能な戦略と、メンバーの可能性を引き出すマネジメントの思想は、読者が自社の目標予算達成を確実なものにするための、普遍的かつ実践的な戦略を提供する。
マネージャーとメンバー、営業チーム全体が未来を見据え、信じられるようになる第一歩として、ぜひ本書を手に取ってほしい。

