エンは、運営する総合転職サイト「エン転職」上で、ユーザーを対象にビジネスマナー(※)についてアンケートを行い、1,435名から回答を得た。
※ビジネスマナーとは、企業で働く上で必要とされる仕事上の礼儀作法全般を指す

98%が「ビジネスマナーは必要」と回答。理由の上位は「信頼関係を築くため」「円滑なコミュニケーションを図るため」(図1~5)
「仕事を円滑に進める上でビジネスマナーが必要だと思いますか?」と質問したところ、98%が「必要」(必要:74%、どちらかと言えば必要:24%)と回答した。
年代別で見ると、20代、30代と比べて40代以上は「必要」と回答した人が若干多いものの、大きな差は見られなかった(20代:98%、30代:98%、40代以上:98%)。
仕事を円滑に進める上でビジネスマナーが「必要」「どちらかと言えば必要」と回答した人に、必要だと思う理由を質問したと、上位は「相手に敬意を示し、信頼関係を築くため」(77%)、「円滑なコミュニケーションを図るため」(68%)だった。
続いて、重要だと思うものについても質問すると、トップ3は「挨拶」(85%)、「言葉遣い(敬語)」(82%)、「報告・連絡・相談」(76%)だった。
重要だと思う具体的な理由やエピソードは次のとおり。
Q. “重要”だと思うものについて理由や具体的なエピソードを教えてください。
▼「挨拶」と回答した人
- 挨拶は知識や経験が不要で、やろうという気持ちだけでできるものだから。(20代女性)
- 挨拶できないことが失礼なことだと分かっていないのはまずい。(30代女性)
- その人の印象は初対面の挨拶でほとんど決まると思う。(40代男性)
▼「言葉遣い(敬語)」と回答した人
- 敬語ができていない相手に対して「この人と一緒に仕事をして大丈夫なのか」と不安になったことがあるため。(20代女性)
- 周囲で言葉遣いの誤りを指摘された人がいて、正しい言葉遣いの重要性を実感した。(30代男性)
- 言葉遣いは対面だけでなく、文面にも気をつけておかないと誤解を招く恐れがある。(40代男性)
▼「報告・連絡・相談」と回答した人
- 仕事は1人で判断したら失敗するから。(20代女性)
- 部下からの完了報告がなかったり、業務理解が不十分なまま作業を進められたりしたことで、その後のリカバリーに大変な思いをしたことがあるため。(30代女性)
- こまめな報連相を行なうことで信頼関係が築けるため。(50代男性)
▼「服装・身だしなみ」と回答した人
- TPOに合わせた服装でないと、仕事ができない人なのではないかと不安視されると思う。(30代女性)
- 第一印象が人の印象の7割を決めると聞いたことがある。挨拶や言葉遣いが丁寧でも身だしなみに気になる点があればそこから第一印象を覆すのは難しいと思う。(40代女性)
- 相手が信頼できる人かどうかは、まず見た目で判断するから。周囲からどのように見られているかに配慮できない人は、仕事面でも不安になる。(50代女性)
▼「電話・メール対応」と回答した人
- 相手に伝わりやすく簡潔で丁寧な対応を意識している。(20代女性)
- 意図していなくても失礼と受け取られてトラブルになるケースもあるので、特に社外の連絡は注意が必要。(40代男性)
- メールについては、ひな形を使用することから始めるしかない。誰でも最初から知っているわけではないので、会社に学べる環境があるかも重要。(50代女性)
一方でビジネスマナーが「あまり必要ではない」「必要ではない」と回答した人に理由をたずねると、上位は「形式的なルールが多いと感じるため」(50%)、「マナーを守ることがストレスになる場合があるため」(46%)、「マナーを重視することで逆にコミュニケーションが取りづらくなるため」(43%)だった。
続いて、とくに不要だと思うものについても質問すると、最多は「上座・下座(会議室・エレベーター・タクシーなど)」(56%)だった。
不要だと思う具体的な理由やエピソードは次のとおり。
Q. “不要”だと思う理由や具体的なエピソードを教えてください。
- 仕事の服装は、半ズボンなどでなければスーツである必要性はないと思う。上座・下座についてはマナーとして存在する意味もわかっていない。(20代男性)
- 社外には必要だが、社内ではよけいな軋轢を生みかねないと思う。(30代男性)
- 相手への敬意を示すことより形式的に行なうことのほうが重視されてしまい、ビジネスマナー自体が形骸化していると思う。(40代女性)
5人に1人が、周囲からビジネスマナーについて指摘を受けたことがあると回答。指摘を受けたビジネスマナー、最多は「言葉遣い」(図6~7)
「ビジネスマナーについて、社内外の人から指摘を受けたことはありますか?」とたずねると、5人に1人(22%)が「ある」と回答した。年代による差異はほとんどなかった。
続いて、指摘を受けたビジネスマナーについて質問すると、最多は「言葉遣い(敬語)」(42%)だった。年代別に見ると「言葉遣い(敬語)」は年代が若いほど多く(20代:52%、30代:45%、40代以上:39%)、「服装・身だしなみ」は年代が高い人ほど周囲から指摘を受けた経験のある人が多いことがわかった(20代:17%、30代:24%、40代:28%)。
具体的なエピソードは次のとおり。
Q. 指摘を受けた具体的なエピソードを教えてください。
▼「言葉遣い(敬語)」と回答した人
- 方言が抜けず標準語に直すよう指導を受けた。(30代女性)
- 付き合いの長いお客様に対して砕けた会話をしていた際、周囲からすると印象が良くないと指摘を受けた。(40代男性)
- 別部署の方と電話をしていた際、私の受け答えが軽く感じられたようで「私はあなたの友だちではない」と指摘を受けた。(50代女性)
▼「報告・連絡・相談」と回答した人
- 他部署と進めている仕事の進捗をタイムリーに報告をするよう指摘された。(30代女性)
- 報告は結論から言うよう元上司から指摘を受けた。(40代男性)
- 社会人になりたての頃は特に報告がないことでよく怒られていた。(40代男性)
▼「電話・メール対応」と回答した人
- お客様とのメールはこちらからの返信で終わりにするよう指摘された。(20代女性)
- 部内のメールで上司に対し顔文字を使用して指摘された。(40代男性)
- 夜遅い時間帯のメールについて、翌日で大丈夫ですと苦言を言われた。(50代男性)
ビジネスマナーとして気になる周囲の行動、トップは「深夜や早朝の連絡」。普段から気をつけている行動は「社外の人に対して上司や先輩を呼び捨てにする」が最多(図8~9)
周囲の人の行動のうち、ビジネスマナーとして気になるものを質問したところ、最多は「深夜や早朝などにメールやチャットを送る」(55%)という回答だった。次いで「社外の人に対して、上司や先輩を呼び捨てにせず“さん付け”で呼ぶ」(45%)、「メールやチャットツールでフランクな表現を使用する(!、…、笑 など)」(41%)が続いた。年代別で最も差が開いたのは「社外の人に対して、上司や先輩を呼び捨てにせず“さん付け”で呼ぶ」(20代:38%、40代以上:49%)だった。
続いて「普段ビジネスマナーとして気をつけている行動」を質問した。トップは「社外の人に対して、上司や先輩を呼び捨てにする(「さん付け」で呼ばない)」(59%)だった。年代別に見ると20代のみ「深夜や早朝などにメールやチャットを送らない」(65%)が最多だった。年代別で最も乖離が大きかったのは「打合せや会食時に上座下座の位置を守る」(20代:27%、40代以上:47%)で、20ポイントの乖離があった。
気をつけるようになったきっかけや気をつけていない理由は次のとおり。
Q. 気をつけるようになったきっかけや、気をつけていない理由があれば教えてください。
▼「社外の人に対して、上司や先輩を呼び捨てにする(「さん付け」で呼ばない)」について
【気をつけている理由・きっかけ】
- 社外の人に対して上司や先輩を呼び捨てにしないと変な感じがする。(30代男性)
- 呼び捨ては苦手なので、つい“さん”を付けてしまうが、上司から注意を受けて直した。(40代女性)
【気をつけていない理由】
- 社外の人に対して上司を呼び捨てにするのは、今の時代やってない会社も多い気がするので時代遅れのように感じる。(30代女性)
▼「深夜や早朝などにメールやチャットを送らない」について
【気をつけている理由・きっかけ】
- 相手の都合がいい時に読めるのでもともと送る時間帯はあまり考えていなかったが、実家で仕事していた際親に「それ今送るの?」と言われ、メール送信に不適切な時間帯があることを学んだ。(20代女性)
- 深夜や早朝のメールは相手のワークライフバランスに影響するので控えている。(30代女性)
- 私生活に割り込む可能性があるので嫌な気持ちにさせたくない。(30代男性)
▼「メールやチャットツールでフランクな表現を使用しない(!、…、笑 など)」について
【気をつけている理由・きっかけ】
- 友達ではないので“!”などは使わないようにしている。(20代男性)
- 相手にあわせて表現を変えるが、社外に対しては、ビジネスライクな表現でやり取りをしている。徐々に砕けていくこともあるが「親しき仲にも礼儀あり」のため、仕事の話はお互いに意識を切り替えるためにフランクな表現は避けるようにしている。(30代女性)
- 社外の人から「なるはやで」というメールをもらって恥ずかしさを覚えたため、自分はフランクな表現をしないように気をつけている。(50代女性)
▼「打合せや会食時に上座下座の位置を守る」について
【気をつけている理由・きっかけ】
- ビジネスマナーのセミナーで上座下座の問題を間違えて恥ずかしい思いをしたので、以来気をつけるようになった。(40代女性)
【気をつけていない理由】
- 正直上座下座はどうでもいいと思っているし、上座がどこで下座がどこかわからない。(20代男性)
- 普段の関係性が重要で、上座も下座も関係ないと思う。(40代女性)
▼「ノータイ、Tシャツ着用、スニーカーなどカジュアルな服装で他社訪問をしない」について
【気をつけている理由・きっかけ】
- 身だしなみで印象が変わるため服装は気をつけている。(30代男性)
【気をつけていない理由】
- 今の時代、服装は清潔であれば何でもよいと思う。(40代女性)
- カジュアルな服装は時代に合っていると思う。酷暑の夏にジャケット着用はナンセンス。(50代女性)
▼「会議中のメモはスマホではなくノートとペンで取る」について
【気をつけている理由・きっかけ】
- メモはスマホで取ったほうがあとで見返しやすいので便利だと思うが、周囲でスマホでのメモをNGとする人が多そうなのでノートとペンで取っている。(20代男性)
- スマホを見ていると勘違いされている社員がいたため気をつけるようになった。(40代女性)
【気をつけていない理由】
- 早いかつ綺麗にメモが取れて、社内共有でも便利なのでメモはパソコンで取っている。(30代女性)
▼「オンライン会議中はカメラをオンにして参加する」について
【気をつけている理由・きっかけ】
- オンライン会議でカメラをオフにするなら電話でいい。会話においてお互いの表情は大事。(40代女性)
- オンライン会議は、人数によってカメラのオンオフを切り替えている。少人数ならオン、大人数なら発言する時にオンにしてそれ以外はオフ。(50代男性)
【気をつけていない理由】
- カメラは通常オフにするという社内ルールがあったので特に気にしていない。(50代女性)
ビジネスマナーの学習方法、最多は「上司・先輩からのアドバイス」。「家族」や「学生時代の授業」から学んだなどの声も(図10)
ビジネスマナーの習得方法を質問したところ、最多は「上司・先輩から教わった」(46%)だった。自己学習の方法には年代別での違いが見られた。「インターネット(YouTube・SNSなど)」(20代:23%、30代:24%、40代以上:14%)は若手層のほうが活用している一方、「書籍」は年代が上がるにつれて割合が高く(20代:5%、30代:11%、40代以上:14%)、世代による学習スタイルの違いが明らかになった。
【その他の回答】
- 両親や祖父母、学生時代のビジネスマナーの講義、印象の良い方の所作を真似る など。
【調査概要】
調査方法:インターネットによるアンケート
調査対象:「エン転職」を利用するユーザー
調査期間:2025年9月1~9月30日
有効回答数:1,435名
