再現性と個別最適化を両立する新たなセールスモデルへ
──これまで全3回にわたり、富士通のデジタルセールスが進める「富士通アカウントバディ」という新たな顧客深耕モデルについて話をうかがってきました。改めて、この挑戦の現在地と目指すゴールを教えてください。
南 「富士通アカウントバディ」は、今まさに試行錯誤を続けている段階で、まだトライアルの延長線上にあり、これまでお話ししてきましたOneCRMやアカウントプランニングといった一連のプロセスが統合されて、真の「富士通アカウントバディ」となります。
この挑戦を継続し、フィールドセールスと共創するデジタルセールスを確立し、最終的には、フィールドセールスやSEも含む富士通の新しいセールスモデルそのものを確立したいと考えています。

重松 一部のアカウントチームでは、すでに「富士通アカウントバディ」という新たなモデルを実運用に移行しつつあります。将来的には、このモデルをブラッシュアップして富士通の新規開拓の「型」をつくり、再現性を持ったうえで、顧客ごとに最適化された提案活動ができることを目指しています。
そして、この「型」をより多くのアカウントチームに展開し、その先にはグローバル展開も視野に入れています。長期的・戦略的な視点で、顧客と一緒にビジネスを創出していくことが目標です。
──「富士通アカウントバディ」の構築を進めるなかで、新たな課題も見えてきたかと思います。現在はどのような課題に取り組んでいますか?
重松 まだまだ見えない部分が多く、KGI/KPIの設定、デジタルセールスの役割の範囲など、さまざまな課題に直面しています。
とくに難しさを感じているのは、フィールドセールスとの連携です。現在、デジタルセールスが創出した商談に加え、フィールドセールスが創出した商談の一部でも、停滞する商談についてデジタルセールスが再掘り起こしを行っています。しかし、過去にフィールドセールスが対応していた案件なので、その経緯や停滞理由をデジタルセールスが深くキャッチアップする必要があり、そこにかなりのコミュニケーションコストがかかることが大きな課題です。
こうした課題はデジタルセールスメンバーとの1on1で吸い上げています。「黄色信号をあげよう」を合言葉に現場の声を集めて、個々の課題に留めず、チームで課題解決していくように動いています。
南 2026年度の戦略を考えるなかでも、デジタルセールスとフィールドセールスの役割分担は大きな課題のひとつです。「富士通アカウントバディ」の理念には共感を得られていますが、適切なリソース配分など、まだ考えるべき課題はたくさんありますね。