第1回では、対面商談における「ブラックボックス」の存在とその課題を、第2回では商談の「ブラックボックス」化問題を対面会話解析AIにより解消し、「できる営業」を育成する方法について考えてみました。
第1回
第2回
最終回となる第3回は、対面会話データが、個々の営業活動の改善につながるだけでなく、企業の成長を加速させる戦略資産となる未来について考察します。
CRMは単なる報告ツールではない 「組織課題」の可視化へ

いまや、CRMは多くの企業で導入されています。ただし、CRMが営業活動の「記録・報告ツール」にとどまっている企業が多いのも事実です。
日々対面でお客様と向き合う営業部門にとって、CRMへの入力は「付加業務」「日中には行う時間がないもの」と捉えられやすく、お客様対応終了後の残業で対応している現場も少なくないでしょう。そして、入力には「なるべく時間をかけたくない」というのが担当者の本音ではないでしょうか。
一方で、管理職の立場から見ると「入力内容を見ても商談の結果が見えづらい」「大事なことが入力できていない」といったジレンマもありそうです。
そこで今回は、CRMの価値を高めるために有効なAI連携についてポイントをお伝えしていきます。
まず、CRMとAIを連携させることにより営業メンバーの入力の手間を最小限に抑えることができます。AI解析によって出力されるお客様の「生の声」、感情の機微、会話のトーンといった情報を自動でCRMに蓄積させることも可能です。これにより、CRMは単なる活動記録のデータベースではなく、顧客の真のニーズや課題が詰まった、質の高い情報源へと進化を遂げます。
たとえば、特定の商品に関するネガティブな発言が頻出している現象が見られる場合、それはプロダクト自体の課題かもしれません。あるいは、営業担当者の説明方法に改善すべき点があることを示している可能性もあります。
お客様とのコミュニケーションをデータ化した「AI連携データ」を用いることで、課題の本質を特定し、適切で効果的な解決策を講じることができるようになるのです。
次項より、事例を交えてより詳しく解説していきます。

