お客さまのビジネスだけでなく、営業スタイルもデザインする
作田(ユーザベース) 改革を実現するにあたり、組織としても大きな変化を求められるようになったのですか。
髙木(KDDI) プロジェクト発足の背景にもつながりますが、2021年に法人営業部門の組織体制の見直しがあり、部門名が変わりました。新名称のビジネスデザイン本部には「お客さまとともに、お客さまのビジネスを一緒にデザインする」の意味も込められています。
お客さまのパートナーになるためには、まずお客さまの現場を理解しなくてはいけません。そこで「いざ、現場に行こう!」というスローガンを掲げ、発電所、ダム、配送センターなど電力や物流会社をはじめ、あらゆるクライアントの現場へ訪問する取り組みが始まりました。
結果的に多くの気づきは得られましたが、営業メンバーは現業務に加えての活動です。新施策をただやみくもに導入するだけでは浸透しません。さらに、連携が欠かせないマーケティングやプロダクト部門にも、営業が得た「生の声」を共有する仕組みをつくらなくてはと考えたのです。
作田 営業スタイル自体をデザインし直すというのも、このプロジェクトの目的のひとつなんですね。
髙木 そうですね。新しい営業スタイルにチャレンジするときは、単なる役割分担では難しいと感じます。今は私たちが台風の目となり、他部門も巻き込みながら改革プロジェクトを進めているところです。
作田 改めて、おふたりが取り組まれている、改革プロジェクト「KDDI-BX」についてお聞かせください。
髙木 ビジネスデザイン本部は「お客さまとともに、お客さまのビジネスを一緒にデザインする」ことが役割です。そのフロント部隊の一員として、企画統括部で営業プロセスの見直しや営業支援ツールの導入、人財育成など、営業組織の変革を進めています。
プロジェクトがスタートして約1年。私はリーダーとして推進役を、森は6つあるワーキンググループの取りまとめ役を担っています。
作田 「KDDI-BX」はどのような経緯でスタートされたのですか。
髙木 大きくふたつあります。ひとつめは、働き方の多様化にともなう転職の活性化です。新しく入ってきたメンバーを育成する観点で、今は「背中を見て学べ」という指導法は通じません。「誰でも」「いつでも」学ぶことができ、成果を出せる環境の整備が課題でした。
ふたつめは、データドリブンによってお客さまへの提案力を上げるためです。それにはまず、変化する市場のスピードの中で、お客さまから得た鮮度の高い情報を蓄積し、お客さまのことをデータからも理解できる環境が不可欠です。従来の営業日報に記録を残すようなやり方では難しいため、デジタルツールを活用しています。