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SalesZine & Beyond 2025

2025年10月23日(木)12:30~17:45

突撃! 隣のセールスイネーブルメント

ロームを支える「データ文化」のDNA──営業DXで未来につなぐ、現場の「暗黙知」

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 営業活動の変革(営業DX)は企業成長の鍵を握っています。しかし、長年の営業スタイルを持つ大企業にとって、その変革は容易ではありません。そこで連載「突撃! 隣のセールスイネーブルメント」では、NTTドコモビジネスで営業DXに取り組んできた徳田さんが、営業改革に取り組んでいる注目企業に突撃! 各社の取り組みを解き明かします。今回は電子部品大手ロームのIT統括本部でシステム企画を担当する岩本元熙さんと対談を実施。なぜ、ロームは営業DX・データ活用を推進するのか、その背景にはどのような文化があるのか?どのようにデータ分析を実践するのか。営業経験者であり、現在はDXの推進役を担う岩本さんの言葉から、変革を成功に導くためのヒントを探ります。

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23年の営業の最前線から 一転、DX推進に挑む

徳田(NTTドコモビジネス) 本日はロームの営業DXに迫るべく、岩本さんにお話をうかがいます。実は岩本さん、IT部門にいらっしゃる前は、営業一筋だったそうですね。営業畑からIT部門への異動は、大きなキャリアチェンジだったかと思いますが、どのような経緯で現在の役割を担うことになったのでしょうか。

岩本(ローム) そうなんです。入社以来23年間、ずっと営業畑でした。国内だけでなく、マレーシアにも5年間駐在し、横浜や京都など、日本中を飛び回ってきました。まさに現場の最前線で営業をやっていました。

 2021年にサプライチェーン改革のプロジェクトに営業代表として参画したのが、ITの仕事に関わるようになったきっかけです。営業の代表として、システムの使い方についてユーザー目線でアドバイスする役割だったのですが、「営業目線でより深くかかわってほしい」と声がかかり、2024年にIT統括本部へ異動となりました。

ローム株式会社 IT統括本部 IT企画部 デマンド・エンジニアリング企画課

課長 経営学修士(EMBA) 岩本元熙さん

徳田 営業からITへ、しかもDXの中心人物として──ギャップや違和感はありましたか。

岩本 当初はありましたね。技術的なことはまったくの素人でしたから。ただ、おそらく私に求められているのは、物事を進めるための「調整の役割」かなと思っています。営業の苦労を肌で知っているからこそ、システムを使う側の気持ちがわかる。優秀な部下に技術的な部分は任せつつ(笑)、私は人と人との間に入って、改革を前に進める。それが自分の役割だと考えています。幸い、その役割はうまくいっていると感じています。

データによる管理体制は創業以来の文化

徳田 ロームの営業改革、直近ではどのようなことを進めていらっしゃるんですか。

岩本 会社の大きなテーマは、海外市場をどう伸ばしていくか。ロームは日本のお客様と二人三脚で成長してきた会社で、国内市場は強いのですが、グローバルではまだまだ伸びしろが大きい。世界中に直販営業を配置するのは現実的に難しいため、現地のスタッフや代理店、ディストリビューターとどう連携し、製品を売ってもらうかに注力しています。

 そのような営業活動の支援ツールとして、Salesforce(CRM)を導入し、活用を進めています。ちなみに、当社ではCRMを「CLV(Customer Lifetime Value)」と呼んでいます

徳田 CRMの導入では、多くの企業が入力率の低さに悩んでいます。ロームの場合は、営業現場の抵抗はなかったのでしょうか。

岩本 実は、導入当時は私は営業現場におりまして、私自身はじめは少し抵抗がありました。「入力する時間があれば、もっとお客様との接点を増やしたい」という気持ちがあったからです。それでも、より良い成果を挙げるための土台をつくるために、CLVへの入力が評価に直結するような仕組みもつくり、定着を促していきました。先人たちの啓蒙活動の成果もあり、今ではワールドワイドで約1,000人の営業がしっかりデータを入力しています。このハードルは比較的早く、乗り越えられたと思っています。

徳田 それは素晴らしいですね。なぜそこまで徹底できたのでしょうか。他社にはない、ロームならではの背景があるように感じます。

画像を説明するテキストなくても可

NTTドコモビジネス株式会社 ビジネスソリューション本部

事業推進部 グロースマーケティング推進室長 徳田泰幸さん

岩本 おっしゃるとおりです。これはぜひお伝えしたいのですが、ロームには創業以来、データ活用を重視する企業文化が根づいています。そしてこれは1966年に定められた「品質管理基本方針」に「社内標準化を全社的に推進し、データによる管理体制を確立する。」と明記されているんです。

 ですから、実はツールがあるからデータ活用や分析に積極的になったというわけではなく、もともとそういった意識自体は全社員にあったんです。CLVは、その文化をより効率的に、そしてグローバルに展開するためのツールという位置づけです。

徳田 1966年から「データによる管理」が掲げられていたとは、驚きです。それが全社員に浸透しているからこそ、スムーズな活用定着が進んだのですね。

次のページ
データ活用の課題と展望 「クロスセル」をデータで支援

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮田華江(セールスジンヘンシュウブ ミヤタハナエ)

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