LayerXは、提供するAIプラットフォーム「Ai Workforce(エーアイ ワークフォース)」について、「AIエージェント基盤」へのアップグレードを発表した。

開発の背景とリリース概要

LayerXは、「企業と共に成長する」をコンセプトとしたAIプラットフォーム「Ai Workforce」を提供している。これまで、エンタープライズ企業を中心に、AIワークフロー機能を活用し、企業ごとに異なる業務プロセスをAIに教えることで、営業・法務・人事・研究開発といったさまざまな業務におけるドキュメントの管理・作成・レビューを支援してきた。
Ai Workforceの提供による成果をさらに発展させるため、LayerXは業務の連続性に着目。実際の業務現場では、単発の処理で完結せず、複数のステップが連続するケースが大半である。AI技術の進化に伴い、こうした現場の実情に対応し、業務の成果を「意思決定・検証・提案」といったより領域まで広げるため、Ai Workforceの再設計を行った。
今回LayerXが提供を開始するAi WorkforceのAIエージェント基盤では、自律的に判断・行動するエージェントと、安定的に処理を行うAIワークフローを組み合わせて定義・構築できる。これにより、ドキュメント検索や調査・レポート作成・資料生成をAIエージェントと対話的に進められるほか、連続的な一連の業務・タスクをシームレスに支援することが可能になる。
AIエージェント基盤の特徴
1.AIエージェント×AIワークフロー

新しい基盤では、AIエージェントとAIワークフローをカスタマイズして組み合わせることができる。AIエージェントはユーザーの要求を理解して必要なAIワークフローを呼び出し、AIワークフローは処理を実行する。
業務を進めるなかで、不足した情報があればAIエージェントからユーザーに確認を行い、ユーザーからAIエージェントにフィードバックを与えれば、そこまでの対話や成果物を踏まえてさらに成果物をブラッシュアップすることもできる。
2.カスタマイズ性があり、さまざまな業務に適用可能

業務ごとにAIエージェントおよびAIワークフローをカスタマイズして組み合わせることが可能で、個社固有のナレッジ、手順を組み込むことができる。
また、AIエージェントやAIワークフローは、ドキュメント検索や参照、ファイル処理のような標準的なツールや、個社向けのツール(基幹システムとの連携など)を組み込んで利用することもできる。これにより、個社固有のさまざまな業務にスピーディーにAIエージェントを導入することが可能となる。
たとえば、過去提案資料を参考にして提案資料を作成、社内ルール・ガイドラインを元にした契約書のリスク分析、請求書から情報を読み取って基幹システムに連携、といった多様なユースケースの実現できる。
3.連続的な業務進行とユーザーフィードバックに対応

ユーザーとAIエージェントが対話してつくりあげた成果物を次の業務・タスクとして受け渡すことができ、AIエージェントがユーザーとの対話や一連の業務の流れを踏まえ、シームレスに後続の業務を進めることができる。
たとえば、次のようなステップで業務を進めることができる。
- ユーザーの依頼に応じて情報を調査して、レポート出力
- ユーザーがフィードバックを与えて再調査依頼
- 再調査結果を自社既定のフォーマットで出力
導入事例:三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行は、LayerXが提供する生成AI基盤Ai Workforceを2024年に導入し、提案書ナレッジシェアプラットフォームとして活用してきた。
今回、さらなる生産性改善を目指し、AIエージェントによるスライド検索機能を共同で開発。本件は、三菱UFJ銀行においてAIエージェントが本格的に活用された初の事例となる。
営業担当者が平均1日2時間を要していた提案準備プロセスのうち、過去事例の検索やたたき台資料の生成をAi Workforceが担うことで、準備時間が5〜9割削減されることを想定している。