約400名の営業を対象にさまざまな支援を実施
徳田(NTTドコモビジネス) ダイキン工業 サービス本部 事業戦略グループに所属されている皆さんに、営業DXのお話をうかがっていきます。まずはグループの立ち位置と、皆さんのキャリアについて教えてください。
小林(ダイキン工業) 事業戦略グループには現在、20名ほどが所属しています。役割の定義が実は難しく、ざっくり言うと中期経営計画を指針としつつ、自由にテーマを見つけて取り組んでいるチームです。
さまざまなテーマに携われるこのグループの中でもわれわれは、サービス本部に所属する約400名の営業に対して支援を行っています。サービス営業本部の営業の仕事は、空調関連の契約サービスを獲得する営業と、整備や洗浄、部品交換などの提案を行う営業に分かれています。

小林 私自身のキャリアとしては、現場で修理を行うエンジニアの見習いから始まりました。その後、サービスの営業、省エネの補助金に関わる部門を経験し、現在の事業企画的な役割に就いて8年ほどになります。現在はウェブマーケティングやインサイドセールスの領域を中心に営業支援に携わっています。
高木(ダイキン工業) 私と徳永は、キャリアのスタートが少し変わっています。ダイキンではIT人材を増やすために、2018年より「ダイキン情報技術大学(DICT)」という社内大学を開講しており、私たちはその卒業生です。新卒1年目は座学を中心に学び、2年目は実務に沿ったテーマを現場で学び、3年目から本配属となります。現在の業務は、部門を横断したSFA/CRMの構築プロジェクトに携わっています。
徳永(ダイキン工業) 高木からあったとおり、私も情報技術大学の卒業生で、在籍中はIoTやAIに関して深く学んでいました。高木と同様で、SFA/CRMに携わっています。最近はとくに、蓄積されたビッグデータを現場に還元するための分析や機能開発にも注力しています。単なるIT導入を行うのではなく、ビジネスの全体像を理解し、運用に落とすことに努めています。
修理対応のエンジニアが提案機会を拡大
小林 今日は主にSFA/CRM周りの話をお話しできればと思いますが、その一歩前の段階で、提案の機会を増やしたいけれど、営業の数は限られているという課題がありました。そこで、修理を担当するエンジニアが営業をできる仕組みをつくることにしたのです。エンジニアは2,000名ほどいるのですが、提案や受注に対してインセンティブを用意し、提案率を引き上げていきました。
徳田 メンテナンス部門に提案を行ってもらうという取り組みは面白いですね。「ご一緒にポテトはいかがですか?」じゃないですが(笑)、せっかくの訪問の機会にできることを増やすだけでも、スコアが変わっていくというのは学びになりますね。

NTTドコモビジネス株式会社 ビジネスソリューション本部
事業推進部 グロースマーケティング推進室長 徳田泰幸さん
小林 営業側が、自分の顧客を訪問するエンジニアに個別で「この内容の提案ができそう」と伝える運用にしていました。エンジニアは、提案を行うと自分の作業単価が上がる仕組みで、自発的に提案をしてもらえるようになりました。ポイントとしては、機械に詳しいエンジニアからの提案に説得力があったので、その点でも有効な仕組みでした。
徳田 今の考えで言うと、カスタマーサクセスに近いですね。その後、SFA/CRMとしてSalesforceの導入というステップに進まれたということですね。
小林 はい、さらに効率的に提案を行うための抜本的な営業改革が必要となり、インサイドセールスの立ち上げを行うことにしました。そして、インサイドセールスとフィールドセールスの間に情報共有の基盤が必要になり、Salesforceの導入を進めることになりました。
それまでは例にもれず、営業担当者がExcelで情報を管理している状態で、基幹システムも「案件管理」にとどまっていたため、「顧客管理」が適切にできていませんでした。今接点のあるお客様との関係をきちんと深めていくために、システムが必要だったのです。