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営業の仕事は「売る」ことなのか? 「Buyer Enablment」をめぐる冒険

2024年7月12日(金)13:00~18:20

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需要高まるデジタルセールスとは?フルリモート営業という働き方

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 営業活動と聞くと「飛び込み営業をする」「顧客の自宅やオフィスに訪問して商談をする」といったイメージが、いまだに根強いかもしれません。しかし、近年のデジタル化の波は営業領域にも広がり、デジタルを活用した「デジタルセールス」を導入することで、フルリモートでの営業活動ができるようになってきています。本記事では、デジタルセールスの概要や導入メリットを解説し、デジタルセールスを活用したフルリモート営業のポイントを紹介します。

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デジタルセールスとは?

 デジタルセールスとは、営業活動にデジタル技術を活用することです。

 従来の営業活動は訪問が主流で、デジタル技術を活用する場面は「電話やメールで連絡をする」「顧客情報をExcelに入力する」といった程度でした。しかし近年は、いわゆる「セールステック」という営業領域でのデジタル化が発展したことや、大多数の顧客がパソコンやスマートフォンといったデバイスを保有していることから、営業活動が大きく変化しています。

 従来のように、単なる「連絡手段」や「データ管理」だけでなく、多くの営業シーンでデジタル技術が活用されるようになりました。たとえば、商談自体をオンラインで実施したり、蓄積されたデータを活用して次の営業戦略を練ったりするなどです。

デジタルセールスが広まった背景

 デジタルセールスが広まった背景には、主に4つの要因があります。

  • デジタル技術が発展している
  • 顧客の購買行動がオンライン化している
  • コロナ禍で対面営業が困難になった
  • 近年注目の「インサイドセールス」との親和性が高い

 それぞれ具体的に見ていきましょう。

デジタル技術が発展している

 デジタルセールスが広まっている背景にある大きな要因の一つが、デジタル技術の発展です。デジタル技術が進歩したことで、WebサイトやSNSなどのタッチポイントが多様化したり、複雑な分析ができるようになったりするなど、営業活動にデジタル技術を活用できる機会が増えています。

 また、SalesとTechnologyをかけ合わせた造語「セールステック」という、営業活動に特化したITシステムやクラウドサービスなどのツールも盛んに開発されています。

 このような背景から、営業活動にデジタル技術を取り入れやすい環境となり、デジタルセールスが進歩しているのです。

顧客の購買行動がオンライン化している

 顧客の購買行動がオンラインへと移行したことも、要因の一つと言えるでしょう。

 かつての購買行動では、テレビCMや新聞広告などで商材を認知した顧客は、営業担当者や店舗などで直接詳しい話を聞かなければ、詳しい情報を入手できませんでした。

 しかし現代では、公式サイトやレビューサイト、SNS、YouTube動画などさまざまなチャネルから多様な情報を得られます。また、ECサイトでの購入や電子契約などができるようになり、情報収集だけでなく購入・契約もオンラインで済ませることが可能です。

 このように、現代の顧客はオンラインの購買行動を好むようになっています。そのため、従来の営業手法とは異なるアプローチが必要となり、オンライン化した顧客の購買行動と相性の良いデジタルセールスが注目されているのです。

コロナ禍で対面営業が困難になった

 コロナ禍による営業手法の変化も、デジタルセールスの広がりを後押しする要因となりました。

 コロナ禍では「3密回避」「ソーシャルディスタンス」などが促され、仕事ではリモートワークが普及しました。それは営業シーンにも影響を及ぼし、顧客と対面せずにオンラインでコミュニケーションを取ることができるデジタルセールスへと移行するようになったのです。

 コロナ禍を契機にデジタルセールスを導入した営業組織が、収束してからもデジタルセールスを継続している事例も少なくありません。

近年注目の「インサイドセールス」との親和性が高い

 デジタルセールスが近年注目されている「インサイドセールス」と非常に親和性が高いことも、世間に浸透した要因となっています。

 インサイドセールスとは、非対面でリードナーチャリング(見込み顧客の育成)や商談、クロージングなどの営業活動を行う手法です。アプローチするためには電話やメール、オンライン商談ツール、チャットなどのツールの活用が不可欠であるため、インサイドセールスを導入する企業はデジタルセールスへの移行が必須と言えます。

デジタルセールスのメリット

 デジタルセールスを導入することで、多様なメリットが期待できます。

フルリモートで営業活動ができる

 デジタルセールスは、スマートフォンやパソコンなどのデバイスとインターネット環境さえあれば営業活動を行えるため、オフィスへ出社する必要がありません。自宅などで営業活動が可能になるため、育児や介護などの事情で毎日の出社が難しい人や、遠方に住んでいる人なども、営業職で活躍できるようになります。

 営業が得意でも、さまざまな事情で働くことを諦めている人は少なくありません。デジタルセールスであれば、自身の得意な営業活動をフルリモートで行うことも可能なため、ワークライフバランスが向上してモチベーションやパフォーマンスにも影響するでしょう。

 企業としても、デジタルセールスを取り入れることで多様な人材を活用できるため、人手不足の現代では大きなメリットとなります。

移動にかかる時間やコストが必要ない

 デジタルセールスはフルリモートでも営業活動を行えるため、移動にかかる時間やコストが不要になる点もメリットです。

 従来の営業活動ではオフィスの出社や顧客への訪問は欠かせなかったので、移動にかかる時間やコストは膨大でした。

 しかしデジタルセールスの場合は、オンラインで顧客と商談を行うため訪問する必要がないうえに、ツール上で進捗状況を共有したり日報を提出したりするため、オフィスへ戻る必要もありません。今まで移動に充てていた時間を顧客へアプローチする時間として使ったり、浮いた分のコストを新しい事業に投入したりするなど、時間とコストをより有効に活用できるでしょう。

営業対象のエリアを拡大できる

 デジタルセールスは顧客の元へ訪問しないため、営業対象となるエリアに制限がありません。

 今までは、電車や自動車などで行ける範囲でなければ訪問が難しく、営業対象のエリアを広げるためには膨大な出張費がかかっていました。

 しかし、顧客との接点をすべてデジタルへ移行することで、どのような場所の顧客とも簡単にコミュニケーションを取ることができます。国内のみならず海外にも営業対象を拡大できるため、自社の売上にも大きな影響が期待できるでしょう。

データ活用が促進する

 デジタルセールスは、顧客に関するあらゆるデータを収集し一元管理できるため、顧客の現状やニーズを緻密に分析できます。

 従来の営業活動では、顧客に関する情報管理が属人化しやすく、案件の進捗状況が共有されないことも多くありました。また、勘や経験に即した判断をしていたことで、顧客のニーズとはマッチしないアプローチをしてしまうこともありました。

 しかし、デジタルセールスでは商談履歴やアプローチ履歴を一元管理するため、進捗状況を誰でもリアルタイムで把握できます。また、「AさんはこのWebページを閲覧した」「Bさんは前回の購入から半年以上経過している」などのデータを把握でき、現状やニーズを分析したうえで適切なアプローチが可能です。

営業活動をフルリモートで進めるステップ

 一連の営業活動をフルリモートで行うには、デジタルセールスの活用が不可欠です。どのように営業活動を進めたら良いのか、具体的に解説します。

リードジェネレーション

 まずはリードジェネレーション(見込み顧客の獲得)を行います。デジタルセールスの場合、リードジェネレーションでは以下のような施策が可能です。

  • 営業リストを基にした電話、メール
  • ウェビナー(Webセミナー)の開催
  • Webサイトの問い合わせフォームやホワイトペーパー
  • メルマガ配信
  • SNSによる情報発信

 このようなデジタルチャネルを活用し、リードとの接点を創出します。

リードナーチャリング

 次は、リードの購買意欲を高めて見込み度を向上させていく、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)です。

 電話やメールで定期的にコミュニケーションを取ったり、アンケートやヒアリングなどを通じてリードの課題を聞き出したりします。また、リードのニーズに合った資料やキャンペーンを提供し、リードの見込み度を高めていきます。

 リードの反応やアクションなどに応じて「ホワイトペーパーをダウンロードしたら5点」「~~~という課題があれば10点」など、見込み度を数値化して管理する「スコアリング」を行いましょう。高得点になったら見込み度が十分に高まったと判断し、商談のアポイントを打診します。

商談

 デジタルセールスでは、商談もデジタル技術を活用して行います。オンライン商談ツールを活用することで、対面での商談と同程度の品質の商談を実施できます。オンライン商談ツールは、お互いの顔をカメラで映しながら会話ができるため、表情や反応を確認しやすくなります。また、資料共有や画面共有、ホワイトボード、チャットなどの機能を活用することで、より深くコミュニケーションを取れるでしょう。

クロージング、受注

 商談がまとまった後のクロージングや受注なども、デジタルで行うことが可能です。とはいえ、メールで契約書のPDFを送付し、顧客に押印してもらって返信してもらうのは、セキュリティ面が気になるという人もいるでしょう。そこで、電子契約ツールの活用をおすすめします。

 電子契約ツールはクラウド上で契約を締結することに特化しているため、セキュリティ面のリスクが少なく、運用も手軽なのでスピーディに契約を締結できます。

アフターフォロー

 受注して終わりではなく、継続的にフォローして長期的な関係性を構築することが重要です。顧客と良質な関係性を構築できれば、リピート購入やアップセル・クロスセルを促せます。また、サブスクリプションサービスの場合は、解約を防止することもできるでしょう。

 電話やメール、オンライン商談ツールなどを用いて、顧客の現状や困りごとなどをヒアリングして最適なフォローをしましょう。また、顧客のサービス利用状況や商品購入履歴などを分析し、適切なタイミングで有益な情報を提供することも効果的です。

フルリモートで営業を成功させるコツ

 デジタルセールスを活用することで、フルリモートでの営業活動が可能になります。ただし、フルリモートの営業活動は「顧客と対面しない」「多様なツールを活用する」などの特性があるため、従来の営業活動とは異なるポイントに気を付けなければなりません。

 そこで、フルリモートでの営業活動を成功させるコツを紹介していきます。

 なお、こちらの記事では、インサイドセールスを成功させるコツを「戦略設計」「実践」「運用」の3つのポイントに分けて解説しています。フルリモート営業にも応用できる内容のため、ぜひ参考にしてみてください。

非対面でも信頼関係を構築できるスキルを身につける

 デジタルセールスでのフルリモート営業と、従来の営業活動の大きな違いは「対面か、非対面か」という点です。

 従来は対面のため、相手の顔色や反応、その場の雰囲気などで、温度感を探ることができました。しかし非対面の場合、どの程度の温度感なのか把握することが難しく、コミュニケーションが取りにくいという課題があります。

 そのため、非対面でも相手と適切な距離感で関係性を構築できるスキルが求められます。場数をこなすことで徐々に身につくものですが、研修やセミナーを受講したり、上司を相手にしたロールプレイングを行ったりすることも有効です。

 こちらの記事では、デジタル技術を活用するインサイドセールスに必要なスキルを紹介しているので、併せてご確認ください。

適切なデジタルツールを導入する

 フルリモートでの営業活動では、デジタルツールの活用が必須です。自社の業務内容や運用体制などに合わせたツールを選定しましょう。

 フルリモート営業で活用できるツールの一例を紹介します。

MAツール

 MAツールは、マーケティング活動を自動化・効率化するためのツールです。たとえば、以下のような機能が搭載されています。

  • お問い合わせフォーム作成
  • メルマガ配信、個別メール配信
  • LP作成
  • アクセス解析
  • スコアリング

 主に、リードジェネレーションやリードナーチャリングに活用できるツールです。

SFA/CRM

 SFA/CRMは、顧客に関するあらゆる情報を一元管理できるツールです。

  • いつ、誰が、誰に、どのようなアプローチをしたか
  • 相手の反応はどうだったか
  • 受注につながったか
  • 受注後にフォローできているか
  • アップセルやクロスセルの提案をしたか

 このようなデータを一元管理することで、対応の抜け・遅れを防ぎ、適切なタイミングでのアプローチが可能になります。

CTI

 電話でのコミュニケーションがメインなら、CTIは欠かせません。CTIはパソコンやスマートフォンで電話の受発信ができるツールのため、固定電話がなくても電話営業ができます。ツールによっては、別の担当者への転送機能や、音声ガイダンスによる案内機能なども充実しています。

メール配信ツール

 メールでのコミュニケーションが多ければ、メール配信ツールを活用しましょう。一斉配信だけでなく、個別のメール配信や、ターゲットを分類したセグメントメール、シナリオ通りに自動でメールが送られるステップメールなども可能です。

オンライン商談ツール

 商談を実施する際には、オンライン商談ツールの活用がおすすめです。相手の顔を見ながら商談を進められるうえに、画面や資料の共有機能、ホワイトボード機能などがあるため、対面での商談と同じように商談を展開できます。

 チーム内で共通認識を持つ フルリモートで営業を進めていくにあたり、自分一人ではなく、チーム内で協力し合い進めていくことが重要です。チーム内で共通認識を持つことで、意識が統率されて成功へと進んでいけるでしょう。

 調剤薬局向け事業を展開する株式会社カケハシは、チーム内で目的や営業プロセスの認識を共通させたうえで、そこに向かうためにはどのような戦略を取るべきか共有することで、フルリモートでも成果を出しやすい組織作りを実現しています。詳しくはこちらの記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

デジタルセールスの将来性

 これからデジタルセールスを取り入れようと考えている人は将来性が気になるかと思いますが、結論から言うと、デジタルセールスは将来性のある分野です。その理由として、以下のような要因が挙げられます。

  • AIやスマートデバイスなど、デジタル技術のさらなる発展が見込まれている
  • 少子高齢化の影響による労働力不足のため、フルリモートワークなど柔軟な働き方で多様な人材の活用が求められている
  • 顧客の購買行動は常に変化しているため、顧客データを分析してニーズやトレンドを読み取る必要がある

 このような背景から、デジタルセールスは今後ますますの発展が期待されています。

まとめ

 デジタルセールスは、これからの時代のスタンダードになっていく可能性のある営業手法です。デジタル技術の発展が無視できない現代では、今後もデジタルセールスの必要性は高まっていくでしょう。

 ただし、デジタルセールスを活用しフルリモートで営業活動をする場合、顧客との関係性構築やツール活用などに課題が生じやすいとも言えます。本記事の内容を参考に、デジタルセールスの仕組みを整備してみてください。

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