育成か外注か? 自社に合った営業チームの「設計図」を描く
営業人材の育成には時間がかかります。本来は社内で丁寧に育てたい。そう思いながらも、現場では「手が足りない」「教える余裕がない」という声があがることも少なくありません。人を育てながら成果も出す、その両立をどう実現するか。多くの企業が、社内と社外、それぞれの人員の活用方法を見直すタイミングを迎えています。
しかし、その二択だけでは答えが出ません。人材市場は動かず、採用コストは高騰、社内の育成体制も限界があります。結局、人材育成と外注のどちらかを選ぶのではなく、どう組み立てるかが問われているのではないでしょうか。
そこで今、企業が取り組むべきなのは、自社でしかできないことと外部の力を借りられる部分を見極めながら、戦える営業チームを描いていくことです。
営業を社内で育てる取り組みは、多くの企業が持つ課題です。社内育成は、自社の仕事の進め方や価値観を浸透させやすいという強みがあります。顧客との関係づくりや社内調整の型も含めて、自社の営業スタイルの全体像を教えるには適しているでしょう。
しかし実際には、誰が、どこまで、どう教えるかが曖昧なまま、現場任せになっていることも少なくないのです。未経験者をいきなり現場に出して「最近の若手は続かない」とこぼすようでは育成になりません。OJTに任せきりにならないよう、育成を設計する必要があります。

そうした中、営業活動を外注する企業も増えており、とくにインサイドセールスやリード獲得といった、業務プロセスを標準化できる業務の外注は効果が出やすい傾向があります。
外注を活用する際は、なにを任せるか、どこまで期待するかを明確にしておくことが欠かせません。任せたからといって自動的に成果が出るわけではなく、KPIや業務範囲、連携のルールを事前にすり合わせておかなければ、逆に現場の混乱を招く可能性もあります。
また、外注に頼るだけでは、営業組織の力を育てることは難しいでしょう。ノウハウや人材が社内に蓄積されなければ、どうしても一時的な対応にとどまってしまうリスクがあるからです。
未経験者をいちから育てる時間を社内で確保し、成果を支える部分は外部に委ねる。あるいは、営業組織の立ち上げ段階だけ外注し、ノウハウを取り込んで自社に落とし込んでいく。選択肢はひとつではありません。大切なのは、人をどう配置するかではなく「チームとしてどうすれば成果を出せるか」を起点に、最適な形を組み立てていくことです。人材育成は「教える」だけではなく、「設計」する視点をもつことが鍵と言えるでしょう。