パートナーへのリスペクトを持ち「売る」の伴走支援を
──現在、freeeの社内でパートナーセールスはどのような立ち位置にあるのでしょうか。また、パートナー拡大初期にはどのような課題が存在していたのでしょうか。
八島 当社のパートナーの強化・拡大は、主要な成長戦略です。会計事務所のインフラとしてデファクト・スタンダードを目指すための、極めて重要な組織です。
初期の最大の課題は、会計業界で長らく主流だったオンプレミス型ソフトから、freeeのクラウド型ソフトへの移行です。会計事務所にとって会計ソフトはメインの業務の中心であり、移行には抵抗感が強いケースもありました。さらに、契約後もデータの移行や従業員の方の習熟支援がセットで必要で、インフラとして定着させるプロセスには非常に時間とコストがかかりました。

八島 しかし、パートナー支援を続けてきた結果、認定アドバイザー制度の加入者数は私が入社した3年前の2,000社から5,000社以上に増加しました。また、辻・本郷 税理士法人さまのような大手事務所での導入が決まり、freeeに対する業界の認知が大きく広がったという潮目の変化も感じています。以前は「freeeは会計事務所ではなく、ユーザーが使うものでしょ」というイメージを持たれていたのが、今では会計事務所の皆さまからの問い合わせが増えています。
──ミッションとしてあげられていた、認定アドバイザーの方々に「真のパートナー」となってもらうための、具体的な施策を教えてください。
宮下 課題は、5,000社を超えるアドバイザーの中で、「どのパートナーの取り組みがどれくらい進んでいるか」が把握しづらく、情報がバラバラになってしまっていた点です。

宮下 これを克服するため、PRM(Partner Relationship Management)を導入・活用し、freeeとパートナーの双方で同じデータと情報を共有できるようにしました。これにより会計事務所単位ではなく、アドバイザー個々人の状況まで定量的に把握でき、「なんとなく良さそう」ではなく、正しく検証・実行できるようになっています。
私たちが支援を優先するのは、freeeに共感し、「自分たちの事務所のビジネスを加速させたい」と前向きに考えているパートナーさまです。
PRMを通じて、そういった前向きなパートナーの皆さまにfreeeから発信する情報やノウハウも余すことなく提供しています。たとえば、freee会計だけでなく、販売管理や人事労務といった多様なプロダクトの活用法も、ひとつの場所で提供できるようになりました。
八島 一般的な「販売代理店」と違い、士業の方のコアビジネスは記帳代行や申告業務などの会計業務であり、「ものを売る」営業スキルをもともと持たれていないケースも多いです。そのため、売り方のインプットは不可欠です。
具体的には、freee側が提案に同席して支援を行ったり、提案資料や各種キャンペーンなど販促支援を企画・提供したりしています。この支援の根底には、士業の方の専門性に対するリスペクトがあり、「彼らの『こうありたい、なりたい』という理想を『実現させられるツール』としてfreeeがある」という信念を持っています。
