SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

  • 前回のSalesZine Dayのセッションの様子をレポート記事でお読みいただけます。

  • 過去開催時のイベントテーマをまとめてご覧いただけます。

直近開催のイベントはこちら!

SalesZine & Beyond 2025

2025年10月23日(木)12:30~17:45

SalesZine ニュース

hootfolio、CTC・明治大と人的資本経営の共同研究成果を発表 

  • Facebook
  • X
  • note
  • hatena

 2025年1月に日本電気株式会社(NEC)からカーブアウトしたスタートアップhootfolioは、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)、明治大学商学部加藤拓巳准教授との共同研究により、従業員エンゲージメント向上に効果的な「1on1ミーティング」の在り方を科学的に解明した。

 因果AI「causal analysis」を活用してデータから取り組むべき要因を特定し、実際にABテストを通じて人事施策の改善効果を実証した本成果は、人的資本経営における科学的なアプローチの成果を示す事例となる。

背景

 人的資本経営の重要性が高まる中、さまざまな企業が従業員エンゲージメント向上の施策として1on1ミーティングを導入している。しかし、「1on1疲れ」や効果実感の薄さに課題を感じつつも、形式的な運用にとどまってしまう企業も少なくない。

 そこで、CTC、明治大学商学部加藤拓巳准教授、hootfolioの3者は、従業員アンケートなどのデータを因果AIで解析し、エンゲージメントを高める要因と、1on1満足度を高める具体的な条件を明らかにした。

研究のプロセスと成果

Step1.エンゲージメント要因の特定

 CTCのひとつの事業部門であるエンタープライズ事業グループで因果AI causal analysisを用いて従業員エンゲージメントを左右する要因を探索した。その結果、もっとも影響を与えるのは「1on1ミーティングの質」であることがわかった。

Step2.「満足度の高い1on1」の条件を分析

図1 1on1の満足度を高める要因の因果分析結果(実際の分析結果に基づきイメージを作成)

 続いて、「どのような1on1が満足度を高めるのか」を分析した。

 その結果、次の要素が正の効果を示した。

  • マネージャーによる傾聴・共感
  • 相談内容への実行力ある対応
  • 会話トピックとしての仕事内容・キャリア開発・雑談

 一方で、「プライベートな話題」は満足度を下げる傾向が見られた。

Step3.1on1の現場で活用できるスクリプトを開発

 分析から得た示唆をもとに「1on1トークスクリプト」を作成。営業現場などで成果を上げてきたトーク構造化手法を1on1に応用し、マネージャーが自然に、かつ効果的に対話できるよう支援するフレームを構築した。

Step4.ABテスト(※)で効果を実証

 さらに、スクリプトを活用したマネージャー群とスクリプト未導入のマネージャー群で1on1を比較するABテストを実施した。結果、スクリプト活用群の部下において、1on1満足度が統計的に有意に向上した。

※ABテスト:異なる施策案を一定期間・条件下で比較し、効果を検証する手法

意義

 本取り組みでは、因果分析による科学的知見をもとに実際のマネジメント施策として実装し、効果を実証した。これは、これまで属人的に行われてきた1on1を、データドリブンかつ再現性のある改善サイクルへと転換した取り組みとして、人的資本経営の新たな可能性を示している。

 なお、本研究成果は、伊藤忠テクノソリューションズ、hootfolio、明治大学商学部加藤拓巳准教授の共同研究として、学術誌『Strategic HR Review』に掲載(※)された。

※Kato, T., Akashika, A., Yun, S., Kasahara, T., Ikeda, R., Yamada, E. (2025). Effect of a script for managers in charge of 1-on-1 meetings on employee satisfaction. Strategic HR Review, 1-7.

因果AI causal analysisについて

 日本電気株式会社(NEC)の研究所で開発された独自のAI技術により、従来の分析では見えづらかった「原因と結果」の関係性をデータの中から抽出・可視化。統計の専門知識がなくても直感的なインターフェースにより、「何が成果を生むのか」という問いに答え、ビジネスの次のアクションを科学的に導くことを可能にする。従業員エンゲージメントを高めるための要因分析など、人事領域でも活用が拡大している。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
  • hatena
関連リンク
この記事の著者

SalesZine編集部(セールスジンヘンシュウブ)

編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • note
  • hatena
SalesZine(セールスジン)
https://saleszine.jp/news/detail/7807 2025/11/11 17:00

Special Contents

AD

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング

年間スポンサー

AD