営業未経験のリーダーが率いるセールスイネーブルメント組織
高橋(TORiX) 今日はパナソニック コネクトにおける営業組織強化の取り組みについて教えてください。奥野さんはどのようなキャリアを経て現在のポジションに就かれたのですか。
奥野(パナソニック コネクト) 私は現在、パナソニック コネクトにおいて国内のお客様に向き合う現場ソリューションカンパニーで、営業育成支援の組織を率いています。キャリアとしては、システム系の技術者を10年、企画系の仕事を10年経験しているのですが、実は営業は担当したことがないんですよ。

パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー 事業運営サポート部 シニアマネージャー 奥野史晃さん
高橋(TORiX) 営業畑で育ってきた方とは違う視点もお持ちなのでしょうね。現在の立場から自社の営業組織を見た際の率直な思いや課題感をうかがえますか。
奥野(パナソニック コネクト) 当社はパナソニックグループの中でBtoBソリューションの事業を担ってきた歴史があります。2022年の4月に、パナソニック コネクトという事業会社が発足してから、「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」というパーパスを策定したのですが、それを体現しているのが営業担当者たちです。そんな営業メンバーが、お客様に向けてより良い活動をするための支援を行いたいというのが私の想いです。
一方で、ナレッジの共有や継承に課題があると認識しています。それ以外には、プロセスがビジネスやお客様ごとに異なり、共通化できない難しさがあること、会社が用意する育成や研修のプログラムは充実しているものの、営業メンバーが忙しく研修や学びの場に参加しにくいというが点があります。
高橋(TORiX) そのような課題感を抱える中で、奥野さんのチームが支援される営業の方々はどれくらいいて、それを何人で支えているのですか。

東京大学経済学部卒業。外資系戦略コンサルティング会社を経て25歳で起業、企業研修のアルー株式会社に創業参画(取締役副社長)。事業と組織を統括する立場として、創業から6年で70名までの成長を牽引。同社の上場に向けた事業基盤と組織体制を作る。2011年にTORiX株式会社を設立し、代表取締役に就任。これまで4万人以上の営業強化支援に携わる。コンペ8年間無敗の経験を基に、2019年『無敗営業』、2020年に続編となる『無敗営業 チーム戦略』(ともに日経BP)を出版 、シリーズ累計10万部突破。2021年『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)、『気持ちよく人を動かす』(クロスメディア・パブリッシング)、2022年『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 』(KADOKAWA)、2023年『「口ベタ」でもなぜか伝わる 東大の話し方』(ダイヤモンド社)を出版。2万人調査の分析に基づき、2024年4月に発売された新刊『営業の科学』(かんき出版)は、6万部を超える反響を得ている。2024年4月から東京学芸大学の客員准教授も務め、「”教育”と”営業”の交差点」を探究している。また、東京都内で「人生のヒントが見つかる」をコンセプトにしたリアル書店も経営
奥野(パナソニック コネクト) 現場ソリューションカンパニーの営業で約750名です。チームメンバーは私を除いて4人で、2024年度に現体制となりました。
メインは社内向けの情報提供と、育成施策を現場に浸透させる伴走支援活動になります。育成以外の部分では、営業職向けの情報を提供するポータルの運営や、トップとの交流イベントの事務局を担当しています。広く言えばそれらもセールスイネーブルメントに含まれるのかもしれません。