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SalesZine & Beyond 2025

2025年10月23日(木)12:30~17:45

カスタマーサクセスという仕事

カスタマーサクセスはミッドフィルダー 誰かの「わからない」を「わかる」にする面白さ

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 SaaSビジネスの成長を支えるカスタマーサクセス(CS)。その重要性が高まる一方で、具体的な役割やキャリアパスはまだ確立されていない部分も多い。今回は、HRテックSaaSを手がけるチームスピリットで、自社のカスタマーサクセス組織を立ち上げから率いてきたカスタマーサクセス部 部長の松田紘幸さんに、その変遷や業務の面白さ、今後の展望についてうかがった。

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未経験からカスタマーサクセスのプロフェッショナルへ

──チームスピリットに入社されるまで、カスタマーサクセスは未経験だったとうかがっています。これまでのキャリアと、志したきっかけを教えてください。

チームスピリットに入社する前に、2社経験しました。1社めは人材紹介会社で、約6年間、営業とキャリアコンサルタントを担当しました。この業界は人の入れ替わりが激しく、10年、20年先をイメージすることが難しく、転職を考えました。

次に転職したのがメーカーの管理部門です。総務、人事、経営企画を7年間経験しました。この会社は非常に安定していて良い会社でしたが、今度は逆に20年、30年先のキャリアが見えてしまった気がして、「もっと変化がある環境に行きたい」と再び転職を考えるようになりました。

株式会社チームスピリット カスタマーサクセス本部 カスタマーサクセス部 部長 松田紘幸さん

これまでの経験を活かせる仕事を模索していたところ、当時盛り上がりを見せていたSaaS業界の中で、とくにHRテックに興味を持ちました。また、お客様が最大限の成果を発揮できるよう支援する「カスタマーサクセス」の概念に強く惹かれ、これならこれまでの営業経験と管理部門での実務経験が活かせるのではないかと感じ、HRテックのカスタマーサクセスに絞って転職活動を進めました。

──カスタマーサクセスという仕事について感じた魅力について、もう少しうかがえますか。

過去の営業経験を振り返ると、新規開拓よりも、既存のお客様と深く関係性を築いていくほうが好きで、得意でした。カスタマーサクセスはまさにそういう役割なので、「自分に合っているかもしれない」「面白そうだ」と感じました。

また、IT業界は初めてでしたが、お客様が何に困っているかを素早く理解できるという点で、人事・労務の実務経験がカスタマーサクセスの仕事に非常に役に立っています。問い合わせ内容が抽象的でも、「きっとこのあたりが気になっているのだろうな」と推測できます。

組織の変遷と成長を支えた「泥臭い」取り組み

──2019年入社当時のカスタマーサクセス組織について教えてください。どのような構成で、どのようなミッションを持っていましたか。

当時は「カスタマーサクセスチーム」というかたちで、私を含めて4人というかなり小さな組織でした。ただ、Slaesforceプラットフォームに統合できるソリューションを当初から提供してきている以上、カスタマーサクセス的な考え方は組織に浸透しており、まさに人を増やしていくフェーズでした。当時のミッションは、お客様に「より良く、より長く、活用してもらうための伴走支援」です。

──入社当時の組織では、どのような課題がありましたか。

課題は山積していました。もっともクリティカルだと感じたのは、お客様との対応記録がきちんと蓄積されていなかったこと。各自のPCやオンラインストレージにバラバラに保存されていて、組織的なナレッジになっていませんでした。また、バージョンアップや新機能の案内をこちらが出しているつもりでも、実際にはお客様に全然届いていないという課題もありました。お客様の活用状況を示す指標もなかったのです。

──それらの課題を解決するために、最初に何から着手されましたか。

まず、お客様との対応記録をSalesforceにきちんと残すことから始めました。どの顧客に、どのような提案をし、どのような会話をしたかを記録し、組織的な資産としていくことに注力しました。並行して、お客様との接点を増やすことにも力を入れました。一斉送信の案内だけでなく、個別のミーティングを通じ、新機能や活用方法を丁寧に説明していきました。

個人的には、当時担当していた200〜250社という膨大な数の顧客をフォローするために、入社から2年間は毎日、お客様から届く問い合わせをすべて確認するようにしていました。そして、検証環境で自ら設定を試すことで、お客様がつまずきやすいポイントを把握し、製品知識をキャッチアップしていきました。地道な努力でしたが、お客様が抱える課題を深く理解し、適切な対応をするために非常に役立ちましたね。

──最近の組織変更について教えてください。

2025年4月に、カスタマーサクセス本部という組織ができました。この本部には、私が担当しているカスタマーサクセス部と、有料サポート部門であるプレミアサポート部があります。元々別部門だったプレミアサポートが合流したことで、運用フェーズのお客様への働きかけをさらに強化できるようになりました。

この変更の大きな成果は、お客様に対して「1対1」から「n対n」の関係性を築けるようになったことです。たとえば、カスタマーサクセスマネージャー(CSM)は人事担当者と、プレミアサポートのメンバーは情報システム部門の担当者とやり取りするなど、複数のメンバーが連携して、多角的に対応できるようになりました。これにより、今まで聞けなかった話や、異なる視点からの会話が可能になり、顧客の隠れた課題を見つけたり、さらなる活用の提案につながったりしています

次のページ
低解約率の裏にある「接点戦略」とコミュニティづくり

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮田華江(セールスジンヘンシュウブ ミヤタハナエ)

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