ベクトルのグループ会社であるアップグレードは、顧客の企業名と自社の情報を入力すると、AIが企業の基本情報、市場環境、最新動向の調査・分析から、顧客が抱える課題の特定、自社製品を絡めた提案シナリオの作成まで完結させるサービス「営業戦略プランナーAI」を正式リリースした。

開発の背景
現代のBtoB営業、とくにエンタープライズ向けのソリューション営業においては、顧客企業の複雑な課題を深く理解することが不可欠である。しかし、本質をとらえた提案をするためには顧客の最新プレスリリース、市場環境、競合動向、業界トレンドなど、さまざまな情報を収集・分析する必要があり、営業担当者にとって負担となっている。
従来の営業プロセスでは次のような課題があった。
- リサーチに時間がかかり、本来の提案活動に集中できない
- 分析スキルが属人化し、営業担当者によって提案の質にバラつきが出る
- 収集した情報が断片的で、顧客の本質的な課題に即した提案が難しい
アップグレードは、これらの課題をAI技術で解決するため、高度な分析と提案プロセスを自動化する営業戦略プランナーAIを開発した。
概要

営業戦略プランナーAIは、顧客情報と自社情報を入力すると、AIが自律的にリサーチと分析を実行し、具体的な営業提案シナリオを生成する受託開発型のサービス。単一のAIではなく、それぞれ異なる役割を持つ複数のAIエージェントが連携して動作する。
- リサーチアナリストAI:顧客の最新動向をウェブから自動収集
- プロダクトマーケティングAI:自社商材の強みを分析
- 戦略コンサルタントAI:両者の情報を統合して最適な提案を構築
多角的かつ高度な分析プロセスをAIで再現。このワークフローを、顧客の営業プロセスや利用するデータに合わせてカスタマイズし、最適な形で提供する。
主な機能と特徴
1.専門家AIエージェントによる多角的な分析・連携
「リサーチアナリスト」「プロダクトマーケティングマネージャー」「戦略コンサルタント」など、特定の役割に特化したAIエージェントを搭載。各エージェントが自律的に思考・行動し連携することで、多角的な洞察を導き出す。
2.公開情報をリアルタイムで自動リサーチ
顧客の会社名を入力すると、AIエージェントがGoogle Searchやウェブスクレイピングを活用し、顧客の最新プレスリリース、ニュース、市場動向、競合他社の動向などをリアルタイムで収集・分析する。手作業のリサーチ工数を削減し、最新の状況に基づいた戦略立案を可能にする。リサーチのトピックを指定するようなカスタマイズも可能。
3.顧客の「課題」と自社の「強み」を紐づけた提案を生成
AIが顧客の基本情報、市場環境から顧客の強み・課題を分析し、同時に自社の商材情報から、顧客業界における自社の強みを抽出する。このふたつの分析結果を、戦略コンサルタントAIが突き合わせ、もっともシナジーの高いポイントを特定。「背景と課題」「具体的な提案内容」「期待される効果」「客観的根拠」を含む、説得力のある提案シナリオを複数自動生成する。
4.独自資料の取り込みと受託開発によるカスタマイズ
ウェブ上の公開情報に加え、自社が保有する独自の商材資料、過去の提案資料、顧客から提供されたドキュメントなどをAIに読み込ませることが可能。これにより、分析の精度を高めることができる。

また、営業戦略プランナーAIは受託開発型であるため、特定の営業プロセスや使用ツール(SFA/CRM)との連携など、ニーズに応じた機能カスタマイズが可能である。
カスタマイズ例


GX(グリーン・トランスフォーメーション)特化型AI:GX領域の営業に特化したデモ開発が完了している。たとえば、GX関連の特定情報ソース(例:関連省庁のドキュメント、業界レポート)を優先的に読み込ませ、GXの文脈に沿った課題特定とソリューション提案を自動生成させるといった、専門性のあるカスタマイズが可能。
