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SalesZine & Beyond 2025

2025年10月23日(木)12:30~17:45

AIで“営業の常識”が変わる! 営業×AI最前線

社内版ChatGPT導入後2ヵ月で売上約3,000万円増!現場主導の「市民開発」が生んだ自走する組織

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 生成AIの活用を「いかに浸透させるか」が多くの企業で課題となっている。そんな中、人材サービスのパーソルキャリアでは、営業社員の90%前後が日常的に独自の生成AIツール「ChatPCA」を利用。職務経歴書やカバーレター作成などの書類仕事を80%削減し、削減できた時間を営業活動に充てたことで、ある特定部門では導入後2ヵ月間で約3,000万円の売上向上を実現した。今回、生成AIの活用推進を主導してきた住永氏に、現場の熱狂を生み、組織を自走させたボトムアップ戦略についてうかがった。

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生成AI普及担当を自主的に兼任 その背景にあった危機感と期待

──まずは住永様のこれまでのキャリアと、現在のお役割についてお聞かせください。

パーソルキャリア株式会社 doda事業本部 エージェントサービス事業部 キャリア支援統括部 CAEMC部 ゼネラルマネジャー 住永正氏

パーソルキャリアには入社して19年めになります。これまで一貫して、法人の中途採用や個人の転職支援の領域で営業職としてキャリアを積んできました。現在は、ゼネラルマネジャー(部長職)に就いており、首都圏の製造業や建設業で働くエンジニアの方の転職支援を行う部門を担当しています。

これと並行して、約2年半前から、社内の生成AI普及担当を自主的に名乗るかたちで活動を始めました。主なミッションは、法人・個人営業の担当者に生成AIの活用を促し、全社的な普及と生産性向上を推進することです。

──生成AI普及担当に手を挙げられた、そのきっかけは何だったのでしょうか。

社内で生成AI関連のプロジェクトが動き出す話が出たとき、企画部門の方から「やってみないか」と声をかけられたのが最初のきっかけです。

その前後で情報収集を始めたのですが、私自身が生成AIにプロンプトを打ってみて強い衝撃を受けました。非エンジニアである私でも、「キャリアアドバイザー風のアドバイスをしてくれる対話型チャット」がかんたんにつくれたからです。

「AIを使えば、さまざまな業務で生産性を上げられるかもしれない」という期待感やワクワク感を感じた一方で、「AIを使いこなせなければ、間違いなく時代に飲まれてしまう」という強い危機感も同時に抱きました。この期待感と危機感の両方を強く感じたことが、推進役を担う大きな原動力になっています。

「ChatPCA」普及率90%を実現したボトムアップ戦略

──御社は独自の社内AIツールを利用されているとうかがっています。具体的にどのようなものなのでしょうか。

弊社では、社内版ChatGPTとも言える「ChatPCA」を開発し、運用しています。ChatPCAはパーソルキャリアのさまざまな業務に特化した、非常にセキュアな環境の社内専用ツールです。独自の機能として、社内文書や社内用語の検索機能のほか、社内で使えるプロンプトをかんたんに呼び出せる機能などがあります。

現在、全社的には約70%以上の社員が利用しており、法人・個人営業に限れば、90%前後の社員が日常的に利用しています。

──90%という普及率は驚異的ですね。ここまで浸透させるに至った、具体的な施策や工夫についてお聞かせください。

浸透の背景には、「トップダウン」と「ボトムアップ」の両輪での取り組みがあったと考えています。

まずトップダウンとして、経営層からの「自社で使える生成AIを、セキュリティとガバナンスが整った状態でいち早く現場に提供しよう」という号令が早かったことが挙げられます。

一方、ボトムアップ施策ですが、社内リリースと同時に「使える」と思ってもらうためのプロンプトライブラリを用意し、すぐに活用できる状態にしたことが大きかったと考えています。

生成AIはプロンプト次第でアウトプットが大きく変わります。そのため、単にツールを現場に渡すだけでは、すぐに使いこなせないだろうという仮説を立てました。

そこで、事前にプロンプトが書けそうな社員を指名し、営業社員自身が現場で使えるプロンプトを6つ準備したんです。このプロンプト集を、ChatPCA導入と同時に提供したことで、現場が「これは使えるぞ」とすぐに実感することができ、浸透速度が速まりました。

その後、現場社員が「市民開発」でプロンプトを作成する能力値を上げる取り組みを、約2年かけて推進しています。具体的には、良いプロンプトを一定の「型」をもって書ける社員を「資格取得者」として認定する制度を導入し、セットで研修も実施しました。

現在、この資格取得者は営業職の約40%に達しています。また、2024年3月には、ChatPCAを使って生産性を上げている個人が活用内容を発表する「生成AI活用コンテスト」も実施しました。

こうした取り組みの結果、上から「これを使いなさい」と指示するのではなく、現場の草の根レベルで「自分の業務を効率化したい」というニーズからプロンプトを開発・共有するサイクルが生まれました。ボトムアップが非常に強いかたちでAI活用が進んでいるのが弊社の特徴だと思います。

次のページ
書類作成工数80%削減!「AIを使わざるを得ない環境」のつくり方

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮地真里衣(セールスジンヘンシュウブ ミヤジマリイ)

2018年に中央大学を卒業後、1年半営業職として従事。2019年秋に編集職へ転身し、広告編集プロダクションにてビジネス系ウェブメディア、ファッション誌、週刊誌などの記事広告や販促物の企画・編集に携わる。2022年11月~翔泳社 SalesZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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