SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

  • 前回のSalesZine Dayのセッションの様子をレポート記事でお読みいただけます。

  • 過去開催時のイベントテーマをまとめてご覧いただけます。

直近開催のイベントはこちら!

SalesZine & Beyond 2025

2025年10月23日(木)12:30~17:45

キーエンス、プルデンシャル元トップセールスが解説! 営業の「型」実践講座

営業の「型」が定着しない真の理由は、マネージャーの「無理ゲー化」にある

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

「『売れる』には再現性がある」という信念のもと、本連載では「型」の全体像や、つくり方を解説してきました。しかし、多くの組織が共通して直面する課題があります。それは、優れた型をつくっても、現場に定着しないという現実……。なぜ、こうしたことが起こるのでしょうか。今回は、型の定着を阻む壁を明らかにし、その乗り越え方について解説していきます。

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

型が定着しない原因は「営業マネージャー」?

前回記事【第3回】

 営業の「型」をつくったあとに待ち受ける関門、それが「型の定着」です。営業メンバーが型を使いこなせるようになって初めて「売れる組織」が実現できます。

 この「定着」という重要なミッションは、日常的にメンバーと接する営業マネージャーに託されます。しかし、多くの場合、営業マネージャーはこのミッションを完遂できません。その理由は主にふたつあると考えられます。

1. 営業マネージャーは忙しすぎる

 第2回でも触れたとおり、学んだことについて「やってみる」「できる」というステップを、営業担当者が自力で乗り越えることは難しいものです。本来、この過程には営業マネージャーのきめ細かな介在が不可欠となります。

 ところが、多くの組織では、その重要なフォローに手が回っていません。その背景には、営業マネージャーが忙しすぎるという問題があります。

 多くの組織では、営業マネージャーは「プレイングマネージャー」であるケースがほとんどです。

 チームの目標に加えて個人の目標も追いながら、役員をはじめ上長への予算報告、部下の評価業務や採用面接に入ることもあるでしょう。 さらに、部下の育成業務もあります。具体的には、新入社員のオンボーディングから、オンボーディングを終えたメンバーの目標管理、行動管理、商談(案件)管理まで多岐にわたります。部下が1人や2人ならまだしも、5人から10人近くいることも珍しくありません。

 最近は「管理職は罰ゲーム」という言葉も耳にしますが、働き方改革によって残業が規制され、ハラスメントに対する目が一層厳しくなるなど、マネージャーが気を回さなければならないことが雪だるま式に増えています。

 日々の仕事やノルマに追われながら、部下への言動にも人一倍気をつけなければならない……。そんな「無理ゲー」を強いられているマネージャーたちがきめ細かなフォローをしていくには、時間も余裕も足りなさすぎるのです。

2. トップセールス、トップマネージャーにあらず

「名選手、名監督にあらず」は、営業の世界でも当てはまります。マネージャーに昇進する人というのは、その多くが営業で成果を上げた人たちでしょう。

 私自身もそうでしたが、営業担当者がマネージャーに昇進するタイミングでは指導経験はほとんどないうえに、営業にもマネジメントにも明確な「教科書」がないため、個人の経験則に基づいた指導に終始してしまいがちです。

 その結果、何が正解か分からず、忙しさやノルマに追われて苦しんでいるマネージャーも少なくありません。

 そのような状況では、部下の育成は「緊急度が低い業務」と見なされ、他の業務に手を取られて後回しになりがちです。

KPIを「型の実践度」を測る羅針盤にしよう

 さて、そのような前提もありつつ、営業マネージャーの重要な仕事がKGI(最終目標)/KPI(中間目標)の管理であることに異論はないでしょう。

 ここで重要なのは、KGI/KPI管理を、単なる目標達成の指標としてだけではなく、型を定着させるための仕事として捉えるということです。

 たとえば、KGIを「売上目標の達成」とした場合、KPIは「架電件数」や「商談件数」といった数値目標を設定するのが一般的です。しかし、型を定着させたいのであれば、もう一歩踏み込んだKPI設計が必要です。

 具体的には、「商談後のチェックシート実施率」「ロープレの点数」「トークスクリプトの使用頻度」といった、「型」の定着度合いを測る指標を設定することです。

 こうした指標を用いれば、マネージャーは部下の行動を客観的に把握できます。そして、「なぜ目標を達成できないのか?」という問いを、「なぜ型を実践できていないのか?」という本質的な課題に置き換えることができ、自然と型の定着につなげていくことができるのです。

次のページ
マネージャーの役割を再定義し、リソースの配分を見直そう

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
キーエンス、プルデンシャル元トップセールスが解説! 営業の「型」実践講座連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

株式会社Sales Navi 代表取締役 田中大貴(タナカ ダイキ)

2008年同志社大学文学部を卒業後、キーエンス入社。連続で目標を達成したのち、2010年にプルデンシャル生命保険にスカウトされ入社。11期連続社長杯入賞、2017年には当時全国最年少でエグゼクティブ・ライフプランナー(部長)に就任する。2021年に「営業の道しるべを創る」というビジョンを掲げるSales Naviを創業し、企業の営業の仕組みづくりの支援を行う。著書に『売れる組織 売れる営業』(実業之日本社)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
SalesZine(セールスジン)
https://saleszine.jp/article/detail/7628 2025/10/03 07:00

Special Contents

AD

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング

年間スポンサー

AD