AI時代に求められる営業スキルと組織戦略
テクノロジーが進化すればするほど、逆説的に「人でなければできないこと」の価値は際立ちます。とくにこれからの営業に必要なのは、変化に柔軟に対応する力と、“人と向き合う力”だと考えています。
私はCDXO(Chief Digital Transformation Officer)としてテクノロジーの導入を推進する立場にありますが、それでも「営業という仕事がなくなる」とは思っていません。むしろ、営業は今後、「対人関係の専門職」としてその存在意義を増していくと感じています。
顧客の期待や不安を言葉にし、納得のいく意思決定を支える。そのために必要なのは、Excelやツールのスキルだけではなく、人の感情を読み取り、適切な距離感で寄り添う“対話力”や“気づく力”です。
営業とは、単に商品を売る仕事ではなく、「この選択で未来に進める」と顧客が思えるように、迷いや不安に寄り添い、背中を押す仕事です。言い換えれば、顧客の“人生の選択”に伴走する仕事だと私は思っています。だからこそ営業という仕事は、AIの時代においてもなお、本質的な価値を持ち続けると考えています。

業界を問わず、テクノロジーの進化によって営業という職種そのものが大きく変わろうとしています。単に“売る”ことだけが営業の役割ではなくなり、業務改善やデータ活用、顧客体験の設計といった領域へも関与できるようになった今、個々の志向や強みに応じたキャリアの転換がより現実的になってきています。
だからこそ、重要なのは「キャリアの可能性を閉ざさない文化」と「挑戦を後押しする仕組み」を会社として整えることです。本人の思いに任せるだけではなく、組織として越境を歓迎し、活躍を支えること。それができなければ、せっかくの人材の多様性も十分に生かせません。キャリアの選択肢が開かれているという前提があるからこそ、人は安心して目の前の成果にも挑めるのだと、私は思っています。