「人生の大きな決断に寄り添う」 不動産営業の役割
不動産はほかの商材と比べて極めて特殊です。商品単価が高く、購入・売却は多くの人にとって人生で数回あるかないかの重大な意思決定です。だからこそ不動産営業には、お客様の不安や迷いに丁寧に寄り添い、ともに悩みながら一歩一歩進めていく姿勢が求められます。
○○さんの言葉で、最終的に決断できました。
こうした言葉の裏にあるのは、営業担当者とお客様の間に築かれた信頼関係です。不動産は、良い商品さえあればAIで販売したり仕入れたりできるわけではありません。優れた商品があることは大前提として、 良い取引ができるかどうかは、誰がその商談を担うか、つまり“ヒト”次第なのです。
物件の魅力をいかに引き出し、どのような提案を行い、どのような信頼関係を築くか。そのプロセスのすべてに営業の力が問われます。

問い合わせをいただいた時点で、お客様の課題や望みは、必ずしも言語化されているとは限りません。とくに不動産のような人生に直結する買い物の場合、本当に叶えたい暮らしや将来への不安は、会話の中にふと表れる小さな言葉や表情の端々に隠れているものです。
営業に求められるのは、“まだ顧客自身も気づいていない”想いや希望を、丁寧な対話を通じて引き出すこと。たとえば、お子様との日常の会話から家族の将来像を読み取り、そこから「どのように資産を築くか」という提案につなげていく。これはAIにはできません。人の感性と想像力が必要なプロセスです。まずは相手の立場に立ち、言葉の裏側にある感情や背景に想像を巡らせ、信頼関係の中で安心して本音を語ってもらえる関係を築くことが重要です。
しかし、どれだけ優れた提案でも、トーンや間の取り方、抑揚、言葉選びが不自然ではそもそも話を聞いてもらえません。営業の基礎は“会話の心地よさ”です。情報を伝えるだけではAIに置き換えられてしまう時代だからこそ、“会話のキャッチボールの質”が営業の差別化要因になります。