“仮”の数字でも立派な「仮説」になる
みなさんの中には、「このケースと違って自社には十分なデータがないから、こうした逆算はできない」と思われる方もいるかもしれません。しかし、仮説はあくまでも“仮”で構いません。
たとえば、「アポ率は完全アウトバウンドでほとんどとれないから、1%くらいかな」「案件化率は3件に1件くらいだから、だいたい3割くらいかな」といった肌感覚でも良いのです。
まずはアポ率、案件化率、受注率、それぞれの数字について仮でも良いから置いてみることで、何をすべきかが仮説ベースで一旦立てられます。
そのうえで、「仮説 → 行動 → 検証 → 改善」というサイクルを素早く回していけば、それだけでも十分に意味のある営業活動になります。

正確な答えを見つけることよりも、仮説を持って動き始めることのほうが大切なのです。
営業会議では「行動量」ではなく「KPI」を語りましょう
逆算型KPIが営業組織に根づいてくると、営業会議の風景も変わっていきます。
たとえば、これまで「今週は10件訪問します」のような、架電数や訪問数の報告ばかりだった会議が、
「今月あと5件の受注が必要です。私の受注率は約20%なので、25件の商談が必要になります。ですが、今月はまだ10件のアポしか入っていません。そのため、今週中に新たなアポを15件獲得する必要があります。私のアポ獲得率は約15%なので、過去の弊社セミナー参加者リスト100件に架電して、15件のアポがとれるように進めていきます」

このような発言が出てくるようになるでしょう。
大まかな仮説を立てて行動し、その結果を見ながら調整していく。この“試して、見直す”という仮説思考のサイクルこそが、成果を上げる営業組織の土台になります。
次回は、仮説思考を活用した営業提案の準備について解説します。