【ケーススタディ】「できるかも」と思える仮説が、不安を行動に変えた
それでは、昨年12月初旬に実際に弊社にご相談いただいた、ある人材系サービスの営業マネージャーAさんのケースで見てみましょう。
Aさんからは、「うちのチームは、今期あと6,000万の受注を獲得しないといけないのですが、部下に具体的にどのような指示をすれば良いのかがわからないんです」というご相談を頂きました。
そこでまずは、現状の情報をヒアリングし、数字を整理していきました。
・今期あと6,000万円の受注が必要
・メンバーは2名(マネージャー本人は架電はせず、メンバーの商談同席のみ)
・商材単価:300万円/件
・受注率:30%
・案件化率:50%
・アポ獲得率:20%
・架電から受注までのサイクル:2ヵ月以内
・決算:3月末
この整理によって、1月末までに初回商談を完了する必要があるということが見えてきました。ここから具体的な必要架電数や商談数、案件数を逆算して出していきます。
この場合、次のように逆算できます:
1. 必要な受注件数:6,000万 ÷ 300万 = 20件
2. 必要な案件数:20件 ÷ 30% ≒ 66件
3. 必要な商談数:66件 ÷ 50% ≒ 132件
4. 必要な架電数:132件 ÷ 20% ≒ 660件
稼働日は、ご相談いただいた12月初旬から1月末まで約35日間あり、架電するのは営業メンバー2名です。逆算結果を踏まえ、1人あたりの1日の架電数を計算すると、
660件 ÷ 35日 ÷ 2名 ≒ 10件
となります。
すなわち、12月初旬から1月末までの稼働日35日の間、1人の営業が毎日約10件の架電を行えば、あと6,000万の受注を獲得できるということがわかりました。
「660件架電しなければならない」と聞くと「660件も!?」と感じるかもしれません。しかし、「1人1日10件」と聞くといかがでしょうか? 現実的に「できるかも」と思える仮説が立てられた瞬間、不安が行動に変わるのです。
実際、今回のケースでは、現在のメンバーの新規架電数が1人あたり1日5件だったので、この数を倍にすれば達成できることをAさんにお伝えしたところ、
「これで目標達成のために必要な具体的なKPIが立てられました。過去、単に架電数を増やすことだけを指示した際に、明らかにメンバーのモチベーションが下がってしまったことがあったのですが、このように逆算しながら数字を使って説明すれば、部下も納得感をもって行動に移してくれると思います。さっそく明日から活用していきます!」
と、最初の不安が自信へと変わっていったのです。