BtoB営業に必須のスキル「仮説提案営業」を標準化せよ!
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近年、「仮説思考」を営業現場の活動にインストールした「仮説提案営業」という手法が注目されています。
仮説提案営業とは、限られた情報をもとに顧客の課題と解決策について仮説を立て、個別提案資料を準備し、商談でのヒアリングを通してその仮説を検証し、その結果をもとに次の商談で仮説を修正した本提案をするという流れの営業メソッドです。
顧客に合わせた課題仮説(=顧客の“現状”と“理想”のギャップに関する仮説)を提示し、「営業目線の売り込みではなく、きちんと自社のことを理解してくれたうえでアポの打診や提案をしてくれている」と顧客に感じてもらえれば、アポ獲得率や商談の成約率は大きく向上します。この手法をなんとか自分のチームに根づかせようと、各社の営業マネージャーや営業企画担当者がさまざまな取り組みを進めています。
しかし、営業マネージャーがメンバーに一定の型を学ばせ、「みんなでやってみよう!」と声をかけても、チーム全体に浸透させるのに苦戦しているケースをよく耳にします。
実際、「事前準備が負担となり、仮説提案をやめてしまうメンバーが増えた」「実践しても成果にばらつきが出てしまい、成果が出た人しか継続してくれない」といった悩みを持つ営業マネージャーは少なくありません。
仮説提案営業の導入自体は比較的容易です。しかし、チーム全員が成果を出せるレベルまで定着させるには、工夫が必要なのです。ここで重要になるのが、仮説提案営業の「標準化」です。
標準化の第一歩は「テンプレートづくり」
「標準化」とは、属人的になっているやり方を再現可能な仕組みに落とし込み、チーム全体で使える形に整えることです。
標準化の基本は「細分化」と「テンプレート化」です。商談プロセス(アポ取り、資料準備、商談の進め方など)を細分化し、それぞれのプロセスにおいて、共通で使う「型」をテンプレートとして用意します。これにより、メンバー全員が一定水準以上の仮説提案営業を実践できるようになります。
仮説提案営業導入後の失敗例としてよく耳にするのが、
テンプレートを用意していなかったケースです。仮説提案営業のフローだけをメンバーに伝授しても、「 どの情報を調べるのか」「仮説はどれくらい深いものを考えるのか」「資料はどんな構成で何枚くらい準備 するのか」といった テンプレートがなければ、各営業は自分にとって都合の良い解釈でどんどん進めていきます。メンバーが入れ替わったり新人が入ったりして も、教える人によってやり方もバラバラな状態です。これでは、チーム全体で成果をあげるのは難しくなってしまいます。もうひとつの失敗例としては、テンプレートは用意しているが、その質が低いというケースです。たとえば、アポ取りのスクリプトにしても初回商談の仮説提案シナリオにしても、どの会社にも当てはまるような凡庸な仮説(「人材不足なのでは?」「DX対応が課題では?」など)を並べても、あまりに一般的すぎて顧客の心には響きません。
このテンプレートを見直すことが、メンバーの仮説提案営業スキルを標準化させる第一歩となります。