非エンジニアが挑んだ業務改革の第一歩
──カスタマーサクセスの一部の業務を自動化するAIサポート機能をつくられたとうかがっております。この取り組みを始めた背景を教えていただけますか。
私は2022年春に入社し、最近まで「配配メール」のカスタマーサクセス課に属していました。カスタマーサクセスは、アップセル活動やリテンション活動など、お客様へ能動的な伴走支援を行うことを主要ミッションとしています。しかし、実際にはお客様からの問い合わせ対応など受動的な業務も兼ねていたため、業務が逼迫していました。
「やりたいことはたくさんあるのに、目の前の業務に追われている」──こうした慢性的な状況を解決し、問い合わせ対応を人の手を介さずに自動化したいと思ったのが取り組みのきっかけです。

株式会社ラクス ラクスクラウド事業本部 戦略企画課 河辺 安奈氏
新卒で金融機関に入社後、2022年5月に「配配メール」のカスタマーサクセス課へ。2024年10月よりカスタマーサクセスの戦略企画課で事業戦略を担う
「AIで自動化しよう」という発想は、プライベートでの生成AI利用経験から自然に生まれました。生成AIが質問から情報を学習し、より的確な応答をするようになるのを実感していたためです。この適応性を業務に応用し、生成AIに配配メールの知識と、その使い方を指示するプロンプト(指示)を与えることで、問い合わせへの自動応答が実現できると考えました。
──エンジニアとしての経歴やシステム開発の経験はあったのでしょうか。
大学では文系専攻で、前職も金融機関でしたので、システム開発の経験はありません。前職でシステムの裏側を学ぶ機会が少しあった程度です。このようなほぼ未経験者でも、構想から最初のプロトタイプ(試作品)完成まで、1ヵ月もかかりませんでした。
──そんなに早くできたとは驚きです。どのように進めはじめたのでしょうか。
AIに相談しながら進めたのが大きかったですね。失敗したらまたAIに相談し、フィードバックをもらって改善していくという流れで進めていきました。
正直なところ、「ゲーム感覚」でとても楽しかったんです。AIに教わったことをやってみて、実際に動いたら、ゲームをクリアしたような達成感がありました。ゴールを設定して達成することの楽しさと、「これが実現できたら周りのメンバーも助けられる」という気持ちがモチベーションになっていました。