お客様は「パートナー=仲間」 新たな定義
──おふたりの役割とパートナーマーケティングにおける位置づけについて教えてください。
田中 ZVC JAPANでマーケティングの責任者をしています。日本市場向けのビジョンや製品・ソリューションを、イベントやウェブサイトといったフィールドマーケティングを通じてお客様に「Zoomの価値」をお届けする役割を担っています。
2022年9月にZVC JAPAN株式会社(Zoom Communications, Inc.日本法人)入社。IT業界で25年以上のマーケティング経験を持ち、国際資格CMP保有。生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ、Winning by Designアンバサダー。
石原 同じくマーケティング部に所属し、主に中堅・中小企業のお客様を担当しています。
ZVC JAPAN株式会社 マーケティング本部
Integrated Marketing Manager / コミュニティマネージャー 石原 萌さん
2020年4月にZVC JAPAN株式会社(Zoom Communications, Inc. 日本法人)に入社。 中堅・中小企業、スタートアップ向けのイベント、コンテンツ、コミュニティマーケティングを通じて、ユーザーとユーザーをつなぎ、企業とユーザーの距離を縮める活動を推進している。
田中 当社のビジネスは、営業がお客様に直接ご提案する「ダイレクト」と、パートナー様と一緒にお客様の課題解決を行う「インダイレクト」の両輪で動いています。マーケティング部内にもチャネル専門の担当者がいます。ですが、今回お話ししたいのは、そのどちらとも異なる、ダイレクトのお客様の中に「パートナー」の概念を持ち込むという取り組みについてです。
──直販のお客様を「パートナー」と捉える、ですか。
田中 はい。「パートナー」が持つ「仲間」という意味合いを重視しています。パンデミック期は製品の力で成長してきましたが、オフィス回帰が進む中で、製品力や営業力だけで売上を伸ばしていくことには限界を感じていました。一方で、Zoomが成長するにつれ、「Zoomが好きで活用ノウハウを共有したい」というお客様が増えてきたんです。
そうした熱量の高いロイヤルユーザーさんこそが、我々と一緒にZoomの価値を広めてくれる「仲間」なのではないかと考えました。これは、従来の販売パートナーとはまったく異なる定義です。
──なぜ、ユーザーを「仲間」として捉え直すことが重要だったのでしょうか。
田中 ユーザーさんの手元には、我々が知り得ないような「スティッキー・インフォメーション」、つまり製品に粘着した濃い情報やナレッジが蓄積されています。
たとえば、スキーが上手い人は板のチューニングにこだわっていて、その情報をメーカーが製品開発に活かす、といった関係性に近いです。Zoomにも、そうした深いナレッジを持つ方々がたくさんいらっしゃいます。
この取り組みの背景には「コミュニティ・レッド・グロース(CLG)」という思想もあります。当社には「Delivering Happiness」という企業文化があり、創業以来、お客様の声を聞き、共に成長したいという想いが根底にあります。製品開発の先に、お客様コミュニティの力を成長の核に据えるのは、我々にとって必然的な流れでした。

