場所を選ばない高品質な電話対応を求めてZoom Phoneにリプレイス
新型コロナウイルス感染症がほぼ終息した現在、多くの企業でリモートワークから出社型の働き方に戻る傾向が見られる一方、その過程でウェブ会議やチャットといったオンラインのコミュニケーション・コラボレーションツールが普及・定着し、業務におけるデジタルツールの活用が一気に加速している。
その中で、デジタル化の流れに取り残されているのが社内電話の領域である。業務システム領域ではレガシーマイグレーションやクラウド移行が加速した一方で、電話に関しては通信の安定性や業務システムとの連携、セキュリティの問題から、今もなおオンプレミス型のPBX(構内交換機)を運用し続けている企業が多い。
今回イベントに登壇したさくらインターネットは、コロナ禍による環境の変化に伴い、カスタマーセンターとデータセンターの電話環境をクラウドPBXであるZoom Phoneにリプレイスした。その結果同社では、現在もなおカスタマーサポートにおけるリモートワーク実施率がほぼ90%を維持できているほか、CX(顧客体験)、EX(従業員体験)の面で多くの成果を得られているという。
かつて同社のカスタマーサポート環境では、オンプレミス型のIP電話システムを導入していた。しかし、「機能面では十分だったものの、オンプレミス型であるために定期的なリプレイスが必要であり、コロナ禍を経て業務内容や働き方、顧客接点が変わっていく中で今後のシステムの拡張性や柔軟性に大きな課題が見えていた」と、さくらインターネット 大西 圭一氏は当時の課題を語る。

具体的には、「新拠点をつくるときに物理回線の引き回しが間に合わない」「障害が発生した際の切り分けに時間がかかる」「定期的な保守作業によるダウンタイムにより電話窓口の閉鎖が発生する」などの問題が発生。さらにコロナ禍で出社制限がかかる中、電話業務を行う環境に縛りが生じているという課題も解消する必要があったという。
「こうした中で、場所を選ばずに高品質な電話対応を可能とするシステムが必要だと判断し、リプレイスを決断しました」(大西氏)
Zoom Phoneを選定した理由として、大西氏は「UI(ユーザーインターフェイス)のシンプルさ」「運用の柔軟性」「コストとスピード」という3点を挙げる。同社はもともとZoomユーザーで社員が操作に慣れていたため導入のハードルが低く、機能面でも通話ログや通話状況の確認など、現場の業務にフィットする機能が充実していたと大西氏は評価する。
さらに管理者の立場としても、まず導入時の立ち上がりが非常に早く、コストに関しても通話や録音がし放題という定額制プランのため、「予算管理の面でも安心感を得ることができた」という。