若手社員の5割が「電話をかけるのが苦手」と感じるワケ
最近、若手社員と接する中で「電話をかけるのが苦手」という声を耳にすることが増えてきました。BCCが2025年2月に「社会人になって苦手だと感じた仕事」について入社3年めまでの若手400名に調査したところ、「電話を受ける」(50.8%)、「電話をかける」(48.8%)と、電話業務に苦手意識を持つ若手社員が約半数にのぼるとわかりました。とくに営業目的で電話をかける場面において、大きな心理的ハードルがあるのではないかと考えています。

入社3年目までの若手が苦手だと感じた仕事
(出典:2025年2月実施、BCC「社会人になって苦手だと感じた仕事に関する調査」)
若手社員が電話営業を苦手とする主な理由は3つあります。ひとつは、電話そのものに慣れていないことです。令和の若手社員はテキストでのコミュニケーションが主流となり、電話を使う機会が大幅に減っています。先ほど紹介した調査でも「普段から電話を使わない」「実家に固定電話がなかった」との声もあり、電話に慣れないまま社会に出ることで、苦手意識につながっていると考えられます。
BCCが実施する若手向け営業研修でも、「リアルタイムのコミュニケーションに苦手意識がある」という声をよく耳にします。表情や声のトーンを察知しながら会話することに緊張するうえに、電話は相手の表情が見えないため、不安を感じる若手が多いようです。
ふたつめの理由は、「断られるのが怖い」という心理的な壁です。営業活動において、相手から断られることは日常的に起こります。しかし経験の浅い若手社員にとっては、そのひと言で自信を失ってしまうこともあります。調査でも「最初に拒否されると気持ちが折れる」といった声があり、ネガティブな反応に対する耐性が十分に育っていない様子がうかがえます。電話営業ではその場で提案を見送られるうえに、表情も見えず、心理的なダメージがより大きくなります。
3つめの理由が、正解がわからないことへの不安です。たとえマニュアルがあっても、現実の電話応対は一様ではなく、柔軟な対応が必要です。BCCの調査では、電話が苦手な理由として「電話マナーに自信がない」(53.5%)との声が多く、敬語や応対の仕方に不安を感じる傾向がうかがえます。業務知識が浅い状態での対応に難しさを感じる人も見られました。

電話業務が苦手と感じた理由
(出典:2025年2月実施、BCC「社会人になって苦手だと感じた仕事に関する調査」)
若手社員にとって電話営業は、声だけで相手と信頼関係を築くという、慣れないがゆえに難しく感じる場面も多い業務です。最初は不安や戸惑いがあるのは当然ですが、経験を積み、少しずつ自信を得ていくプロセスこそが成長の糧となります。
そこで、苦手な業務を克服するために会社や自身がどのようなことをすべきかたずねたところ、「研修制度の充実」(52%)、「先輩社員の指導」(42.5%)、「マニュアル整備」(37.5%)など、企業のサポートを求める声が多くあがりました。外部セミナーで学ぼうとする声は少数にとどまっています。

苦手業務を克服するために会社が行うべきこと
(出典:2025年2月実施、BCC「社会人になって苦手だと感じた仕事に関する調査」)
たとえばBCCの場合、ロールプレイ形式の研修やチーム内での成功・失敗事例の共有により、実践に近い学びを得る機会をつくることで不安の解消につなげています。企業として研修・教育体制を工夫し、安心して挑戦できる環境を整えることが、若手社員が苦手意識を乗り越える後押しとなるでしょう。