100コールを超えたころに現れる“見えない壁”
電話営業で成果を出すためには、経験の積み重ねだけでなく、事前の準備や心構えが欠かせません。とくに、これから電話営業に取り組む若手社員にとっては、的確な指導とサポートが大きな支えとなります。このページでは、若手社員が電話営業のスキルを高めるため、マネージャーが意識するべき基本的なポイントを整理します。
第一に、電話営業にはあらゆるパターンを想定したトークスクリプトの準備が必要です。たんなる“台本”ではなく、会話をスムーズに進める“道しるべ”として活用できる内容を意識して作成しましょう。
トークスクリプトをもとに100件ほど架電したころ、多くの若手社員は「このやり方で合っているのだろうか」という不安にぶつかります。この時期は成果も見えにくく、非常に挫折しやすいタイミングです。マネージャーは次の6つのポイントを一緒に振り返ることで、若手社員が感じる不安の正体を明らかにし、改善につなげていきましょう。

ポイント1.「どうせ無理」と諦めていないか
自信のない声や話し方は、相手にもそのまま伝わります。気持ちの持ち方ひとつで、相手の反応が変わることもあるため、「アポイントを取る」という強い意識を持って臨むことがたいせつです。
ポイント2.スクリプトに頼りすぎていないか
架電数が100件を超えるころには、スクリプトを“読む”のではなく“使いこなす”意識づけを行うと良いでしょう。顔を上げて前を向いて話すだけでも、声の印象が大きく変わります。
ポイント3.声のトーンはどうか
声は電話における唯一の情報です。明るく自信を持ったトーンは、それだけで相手の印象を左右します。気持ちと声のトーンは連動していることをあらためて伝えていきましょう。
ポイント4.小さな成功体験を積ませる
最初は難易度の低いリストや、比較的話しやすい業界から始めることで、自信につながります。
ポイント5.ロールプレイで経験値を高める
本番の前に練習の場を設けることで、不安をやわらげるだけでなく、スクリプトの理解度も深まります。
ポイント6.具体的なフィードバック
良かった点と次に活かせる点をセットで伝えると、前向きに改善を重ねやすくなります。たとえば「代表電話から担当者へつないでもらうためには、会社名を先に伝えると通りやすい」など、行動に直結するアドバイスが有効です。
電話営業は、短期間で身につくスキルではありません。しかし、日々の積み重ねと支援で着実に成長できます。だからこそ、指導者には「数をこなせば慣れる」という考えに加え、実践に向けた段階的な支援が求められます。若手社員が安心して挑戦できる環境を整え、指導する側も共に試行錯誤する姿勢が大切です。
若手社員が電話営業に慣れてきたら、次のステップは訪問のアポイントを獲得することです。次のページでは、電話によるアポイント獲得において若手社員がつまずきやすいポイントと、マネージャーが指導するべきポイントを整理します。