“断られる前提”で練習を! アポイント獲得のコツ
電話営業の大きな目的のひとつが、訪問のアポイントを獲得することです。しかし、新人社員にとっては、この「会う約束を取りつける」というプロセスが、意外と高い壁に感じられるようです。新人がつまずきやすいポイントは大きく3つ挙げられます。
1.目的が曖昧なまま話してしまう
新人の多くは「電話でサービスを売り込まなければならない」と思いがちですが、電話営業の目的は「お会いするきっかけをつくること」です。詳細な説明は話が長くなり、相手に警戒されやすくなります。まずは「ご紹介の機会をいただけませんか」と、シンプルな表現を心がけましょう。
2.主導権を相手に預けすぎてしまう
「いつならご都合がよろしいですか?」とたずねるだけでは、相手に断る余地を与えてしまいます。遠慮が先立ち、自分から具体的な日程提案ができない新人も多く見られます。たとえば「あさってか来週の火曜、どちらかでお時間いただけませんか」と、候補日を提示することで、会話の主導権を自然に保つことができます。
3.断られることを「失敗」と捉えてしまう
電話営業では、断られることのほうが圧倒的に多いのが現実です。ところが、新人の中には1件ごとの反応に一喜一憂し、「自分には向いていないのでは」と感じてしまう人も少なくありません。断られること自体を恐れるのではなく、「そこから何を学ぶか」という視点を持てるよう促すことが大切です。
訪問アポイントを安定して獲得できるようになるには、現場での実践と並行して、事前の準備や研修でのサポートが不可欠です。どの企業にも応用できる施策といえます。基礎づくりと研修の工夫の例として、次のふたつの取り組みが挙げられます。
1.スクリプトを使いこなす意識を育てる
スクリプトは不安をやわらげる効果がありますが、読むことに頼りすぎると単調な印象を与えてしまいます。ロールプレイを通じて、自分の言葉で伝えるトレーニングを重ねることが効果的です。
2.「断られる前提」のシナリオも経験させる
あえて難易度の高い設定や、断られたあとの切り返しに焦点を当てた練習を取り入れることで、実戦に近い耐性を養うことができます。「アポが取れた/取れなかった」だけでなく、「話すスピードが落ち着いていた」「言い回しの工夫ができていた」といった、プロセスに注目したフィードバックを行うことで、前向きな成長につながります。

アポイント獲得は、営業のスタートラインに立つための大切な一歩です。この段階でつまずくと自信を失いやすくなります。小さな成功体験の積み重ねが、新人の営業力を確かなものにしていくはずです。だからこそ、新人が安心して電話営業にチャレンジできる環境を整えて成功体験を積み重ねられるよう、丁寧に伴走していくことが大切ではないでしょうか。
今回は若手社員が苦手とする電話営業について解説しました。第3回では、若手社員が顧客を訪問する際に注意したい3つのポイントを解説します。