営業部門は会社のエンジン イノーバが語る協業による成果
セッション後半では、イノーバの宗像淳氏が、ダイキン工業との協業に至った経緯と、そのパートナーシップによる成果について語った。
イノーバはまずダイキンのウェブサイトを改善し、顧客が検索するキーワードに基づいたコンテンツを制作することで、アクセス数を3倍、リード数を10倍に伸ばしている。これは顧客の購買行動の変化に対応した施策を行ったことによる。宗像氏は、海外の統計データを引用し、現代の購買者の状況を解説した。
「現代の顧客はまずインターネットで情報を集め、事前にかなりの情報を持った状態で営業担当者に接触します。そのため、ウェブ上での情報提供が非常に重要になります。ウェブファーストで情報を集める時代、顧客が検索しているときに自社の情報が見つからないということは、存在しないも同然です」(宗像氏)
顧客が自ら情報を探し、興味を持った段階で、必要とする情報をタイムリーに提供し、ニーズに応えることができる、インバウンド型の体制を構築すること。また、営業とマーケティングが連携して、効果的にリードを育成することが不可欠だ。実際にダイキン工業は、あらゆるコンテンツの提供を通じてリードを育成。顧客の興味を引きつけ、潜在顧客から商談への移行をスムーズに行うことができた。
宗像氏は「営業部門は会社のエンジンであり、そのエンジンをより効率的に動かすためには、デジタルツールの活用が不可欠」と述べ、営業現場におけるデジタル化の重要性をあらためて強調した。
さらにイノーバでは、ニッチ企業向けに特化したオウンドメディア戦略を展開し、特定のターゲット市場に対して有効な情報を提供することで、顧客との信頼関係を深める取り組みを行っている。
ニッチな市場に向けて届ける製品となると、どうしてもアピールポイントが製品や技術に寄りやすい。しかし、重要なことは、顧客が抱えている悩みを解決する情報であり、その悩みに顧客自身が気づいていない潜在的なものである場合は、悩みを自覚させることである。コンテンツ発信の際は、自分たちを主語にするのではなく、顧客の課題やゴールを意識することが何より重要だと宗像氏は強調した。
最後に宗像氏は次のようなメッセージで講演を締めくくった。
「ダイキン工業様のインサイドセールスとデジタルマーケティングを組み合わせた取り組みは、顧客ファーストかつ、効果が出やすいところから始めた点がポイントでした。顧客を中心に置かない施策は的外れになり、当然成果は出ませんし、突然長期的な改革に挑むと、現場も疲弊します。ぜひこの前提に立って自社に必要な施策の優先順位を明確にし、デジタルツールも最大限に活用し、取り組みを始めてみてください」(宗像氏)