1年で複数の成果を生み出した「営業組織改革の進め方と工夫」をうかがった前編はこちらから!
営業経験ゼロ お客さまの声を聞くCSのキャリアを強みに
作田(ユーザベース) 営業組織改革プロジェクト「KDDI-BX」発足1年で、幹部も含めた定期的な「アカウント開拓会議」の実施や、営業支援ツールの活用促進によって、確度の高い「未来の商談」が生まれていると聞きました。リーダーである髙木さんはもちろんのこと、ワーキンググループのまとめ役の森さんが果たされた役割も大きいのではないでしょうか。
髙木(KDDI) そのとおりです。森は営業現場の経験なしで、いわば百戦錬磨の法人営業部隊にさまざまな施策を落とし込み、さらに幹部とのつなぎ役を担っています。
作田 営業の経験がないと「現場に気を使いすぎて指示をうまく出せない」などの状況も起きるように感じます。森さんはこれまでのキャリアで、営業企画の仕事にどんなご経験が活きていると思われますか。
森(KDDI) 新卒入社して2年め以降、法人カスタマーサポート部門(以下、CS)で法人のお客さまの電波品質改善を専門とする、コールセンターならびに駆けつけサポート運営に約9年携わりました。そこで直接お客さまの「生の声」をおうかがいできた経験が大きいと思います。通信にトラブルがあると当然お客さまのビジネスに多大な影響があり、基本的に私たちに届くのはお𠮟りの声です。お客さまの現状の温度感、ペインや、弊社がどの部分で価値提供できなかったのかを具体的に把握するため、通話音源を聞き続ける日を定期的に設けていました。
そこから課題を見つけて改善を進めるわけですが、重要な判断を要するときは必ずお客さまの声に立ち返るようにしています。この改革プロジェクトでも、現場の声を拾いつつ「お客さまが本当に求めていることを追求し、応え続けられる組織にしたい」という強い思いがあります。
髙木 プロジェクトがスタートして驚いたのは、森は施策を展開するタイミングで、7〜8人のグループ単位でディスカッションの場を何度も設けるんです。私たち幹部陣が描くビジョンを理解したうえで、そうやって現場の声を拾ってくれます。同じように私が現場に入っても、率直な意見はなかなか引き出せません。現場の本音と幹部の意向、そして営業企画との認識の差をいち早く埋めることが、プロジェクトを良い方向に進められるコツだと思います。
森にとっては、営業の現場も「お客さま」なんです。CSでお客さまの声を分析して、自分たちに求められていることが何かを考え続けてきた経験が、お客さま視点のマインドとして今に活きていると感じますね。
作田 「お客さまから逃げてはいけない」とお客さまに向き合ってきた経験は、森さんの強みにもなっているのですね。
森 現場から目を背けてはいけないと思います。営業企画では目安箱を設置し、匿名で意見を募っているんです。ときには厳しいコメントも寄せられますが、それも貴重な現場の声です。毎週必ず返せるよう仕組みも整えており、状況によっては直接本人のところにうかがっています。また、私自身が営業経験のバックグラウンドを持ち合わせていない点は、弱点だと思っていますが、多様なキャリアや年代の営業の皆さんへのリスペクトを持ちながら、無色・フラットに、耳を傾けていけるのが私らしさでもあると信じて取り組んでいます。