最先端の営業組織は「フォーキャスト」がぶれない
――本書の中では、営業組織のテクノロジー活用/組織変革における事例がいくつか紹介されます。千葉さんが、組織変革を支援するなかで最先端の企業ではどのような変革が起こり始めているのでしょうか。
テクノロジーを導入していれば最先端かと言えば、ある一面ではそうですが、DXを実現ししっかり売上や成果を挙げている企業が最先端だとすれば、そこには型があり、テクノロジーを手段として使いこなしているという共通点があります。さらにプロセスがきちんと可視化されており、「これくらいで着地するだろう」というフォーキャストがぶれない組織は最先端の営業組織だと言えると思います。
私が営業マネージャーになったときも、まずはフォーキャストをぶらさないことから始めました。組織運営において、コストは極端に言えば努力で変動させることができますが、売上はお客様との共同作業ですから、プロセスが重要です。たとえば1億円の目標があって、結果が5,000万円だと目も当てられないですが(笑)、9,900万、百歩譲って9,000万円だとしたら、へこんだ分のコストを切り詰めつつ、次も頑張ってみようと考えることができます。
フォーキャストの精度はマイナスだけではなく、プラスの際も気をつける必要があります。もちろん、ラッキーパンチで売上が上がることもありますが、それは「マネジメントできていなかった案件」だと私は捉えていました。営業組織の売上目標というのは、会社や株主に対する約束です。ゆえに、最先端の会社は「計画どおり」にビジネスを進めるためにテクノロジーを活用して、プロセス管理をしているわけです。
――計画自体が甘いと上振れも未達も発生してしまいますし、データとテクノロジーの活用で、そもそもの目標設計から適切に行うことができるのが強い組織ですよね。上振れも良くない、というのもその意味で印象的でした。
上振れは良くないです。基本的に企業は永続的に続いていくという考え方に基づき、会社が持続的にグロースするために売上を上げ、株主や従業員に還元していく必要があるわけです。上振れしても配当や給与が同じ、逆に未達でも同じ、という状況では継続的な経営が見込めない、約束できない企業と見なされてしまう可能性があります。現実的なラインだけど、少しストレッチした数字を見極める。これは会社経営の基本でもあります。