多様な人材が集うカスタマーサクセス組織
高橋(才流) 本日はよろしくお願いします。まず御社のカスタマーサクセスの立ち位置や、組織のミッションについて教えていただけますか。
二宮(日本マイクロソフト、以下MS) マイクロソフトは今年創立50周年を迎えます。パッケージソフトウェアからスタートした当社ですが、昨今はクラウドサービスを中心にビジネスがトランスフォームしています。これに伴い、お客様とのコミュニケーションのあり方も大きく変わりました。
パッケージソフトの場合は次の接点は次回購入のタイミングになりますが、クラウドサービスは毎日の活用体験、そのすべてが我々の提供するバリューになります。

二宮(MS) そこで私たちは自社のカスタマーサクセスの役割を再定義しました。核心は「お客様との中長期的トラストをしっかり築いていくこと」。我々の製品を使い倒していただくことでお客様自身のビジネスが成功する、それが私たちのサクセスです。
高橋(才流) 提供するサービスの変化により、向き合う顧客の部門も広がってきていますか。
二宮(MS) 現在は多岐にわたっています。IT部門はもちろん、事業部門の方々からの引き合いも多く、我々が提供するAIアシスタントの「Microsoft 365 Copilot(以下、Copilot)」に関してはエグゼクティブの方からの直接的な要望も増えています。経営層向けの使い方ワークショップを実施することも少なくありません。
高橋(才流) お客様の所属する部門や立場ごとに考えやゴールも異なると思います。そういった多様なニーズに対して、どのようなカスタマーサクセス体制で対応されているのでしょうか。
二宮(MS) 我々のカスタマーサクセス組織には主にふたつの役割があります。ひとつめがお客様の窓口となり、さまざまなご要望をお聞きするカスタマーサクセスアカウントマネージャー(CSAM)、ふたつめがポストセールスの技術エキスパートであるクラウドソリューションアーキテクト(CSA)です。
CSAMと営業との違いは、テクニカルな面の対応を含めてフロントに立つ点。CSAにはスペシャリスト、アーキテクト、エンジニアの3つの役割があり、6つのソリューションエリアでCSAMの顧客支援活動をサポートします。
CSAMの最大の役割は、お客様のニーズに応じて適切なチームを組むことです。日本国内のリソースだけでなく、必要に応じて本社側のエンジニアやアーキテクトとも連携し、お客様のビジネス的・技術的課題解決のために伴走します。
高橋(才流) カスタマーサクセスマネージャーに求められるスキルセットが多岐にわたりそうです。人材はどのように育成されていますか。

二宮(MS) 人材育成については、社内に多数いるスペシャリストを中心に、社内ナレッジの整備やトレーニングに取り組んでいます。また、カスタマーサクセスチームの規模が大きく、さまざまな得意分野を持つ人材がいるのが強みです。多様な人材がチームアップすることでひとりのお客様に対して最適な支援ができる、チームで戦える組織と体制を整えています。
高橋(才流) 営業部門とカスタマーサクセスはどのように連携しているのでしょうか。
二宮(MS) 単純に「売る前、売ったあと」と役割を分けるのではなく、既存のお客様の事業を拡大するためにどんな支援ができるかという視点で、両者は一体となって日常的にエンゲージしています。営業部門とカスタマーサクセスは、契約による一過性の売上ではなく、お客様がサービスを継続的に活用しているか、満足度はどうかという総合的な指標で評価される仕組みになっています。