IVRyは、提供する対話型音声AI SaaS「アイブリー」について、特許取得技術(※)を活用した通話解析ソリューション「IVRy Analytics」の本格提供を開始したことを発表した。

※特許情報について:同機能で「通話内コンバージョン指標」に関する技術は、IVRyが開発し、特許を取得している。
- 特許番号:特許第7424276号
- 発明の名称:通話分析システム、通話分析方法、およびプログラム
- 登録日:2025年4月24日
開発背景
人手不足は深刻化しており、2024年度の「人手不足倒産」は過去最多を記録している(※1)。企業にとって生産性向上は喫緊の課題となっており、解決策のひとつとして対話型音声AIによる電話応答サービスも注目されている。
また、コンタクトセンターにおけるCX(顧客体験価値)向上にもっとも重要だと思うサービスの上位3つは「パーソナライズされた対応」「顧客行動の把握」「VOC(顧客の声)収集と活用」という調査(※2)もあるが、対話型音声AIによる電話応答サービスの活用には、業務効率化・人件費削減に加え、顧客満足度向上につながる顧客の声をデータ化できる利点もある。
IVRyは、電話でのやりとりに存在する顧客の声を分析・活用し、顧客体験価値の向上につなげることを目指し、通話解析ソリューション「IVRy Analytics」の提供開始に至った。
※1 出典:帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2024年度)」
※2 出典:トランスコスモス・コトラ「コンタクトセンタートレンド調査2024」
「IVRy Analytics」の概要と特徴
IVRy Analyticsは、アイブリーに蓄積された通話データをAIが多角的に分析し、改善につながるインサイトを導き出す新機能。ダッシュボードを通じて、専門的な知識がなくとも自社の電話業務における課題発見から改善までを一貫して可能にする。
1.AIが機会損失の原因を特定する「通話内コンバージョン分析」 (特許取得技術)

事業上重要な指標(例:予約、購入、アポイント獲得など)を設定することで、そのアクションが電話内で完了したかをAIが判定する。さらに「アクションが完了しなかった」場合の要因(例:満室、料金がネック、担当者不在など)を記述。これにより、これまで感覚的にしか把握できなかった機会損失の理由を定量的に可視化し、具体的な改善アクションへとつなげることが可能になる。
2.問い合わせ内容ごとの課題をあぶり出す「AIラベリング×AI解析指標」

AIが通話内容を「予約キャンセル」「料金に関する問い合わせ」「新規の資料請求」といったコールリーズン(問い合わせ理由)の分析を自動分類する。さらに、分類されたラベルごとに「顧客満足度」「解決率」「クレーム発生率」といった品質指標を掛け合わせて分析する。これにより、「予約キャンセルに関する電話でのみ、顧客満足度が著しく低い」といった、特定の問い合わせ内容に潜む課題をピンポイントで発見し、顧客体験の向上につなげることができる。
3.複数店舗をまとめて分析する「複数アカウント比較分析」
複数の店舗や支店、チームの電話応対状況をひとつのダッシュボードで横断的に比較・分析できる。着電数や応答率といった基本指標から、パフォーマンスが高い拠点やチームのベストプラクティスを特定する。これにより、組織全体でのサービス品質の標準化と向上を促進する。
導入事例
運営する全店舗の電話をコールセンターで対応しているトヨタレンタリース岡山では、「IVRy Analytics」を先行導入し、予約成否状況や機会損失の実態把握に活用。売上や応答率の向上に役立てている。
トヨタレンタリース岡山 予約センター 河本氏、加藤氏のコメント
これまで、どの店舗でどれだけの予約の取りこぼしが発生しているのか、また、お客様がなぜ予約に至らなかったのかという原因を正確に把握できず、担当者の感覚に頼らざるを得ない状況でした。
「IVRy Analytics」を導入したことで、特に不成約となった要因をデータとして可視化できるようになったのが大きな利点です。例えば、「クレジットカードをお持ちでない」などといった具体的な理由とその件数が明確になり、取り組むべき課題の優先順位が判断できるようになりました。
さらに、これまで原因の分析が難しかった「満車ではないにもかかわらず不成約となる」といったケースにおいても、データに基づいた分析が可能になりました。これにより、「このようなご案内をすれば、このお客様は予約に繋がったのではないか」といった、具体的な改善策の仮説を立てられるようになっています。