光学・精密機器の開発製造を手がけるカールツァイスは、全国の管理職500名、一般社員500名を対象に「ビジネスパーソンの上司・部下の関係性に関する調査」を実施した。
理想の上司は「話しかけやすい」で、安心して対話できる上司の姿勢が部下のモチベーションを左右

仕事へのモチベーションを低下させる上司の言動について聞いた質問では、1位「アドバイスは多いが、こちらの意見は聞いてくれない(63.6%)」、2位「フィードバックで理由や背景を聞かずに否定的な指摘をされる(61.8%)」、3位「ヘルプを求めた時に具体的な指示などなく『がんばれ』とだけ言われる(60.0%)」、4位「『任せる』と一任してくれるが、その後のフォローがない(59.0%)」、5位「作業内容や結果について、一方的な動機付けをしようとする(58.8%)」という結果だった。
これらは、一方的で背景を掘り下げないコミュニケーションや、部下の意向を無視した対応にあたる。たとえアドバイスやフィードバックの内容が的確でも、「聞いてくれない」「説明してくれない」という上司の姿勢が、部下のやる気を削ぐ可能性があることがわかった。

さらに、一般社員に「理想の上司」について聞いた質問では、1位「話しかけやすく相談しやすい(32.6%)」、2位「コミュニケーション能力が高い(27.2%)」、3位「公正公平に判断し贔屓がない(25.4%)」、4位「業務の目的や背景を丁寧に説明する(24.0%)」、5位「部下の失敗を成長の機会と捉える(21.4%)」といった回答が上位を占めた。
この結果から、部下は安心して話せる雰囲気や対話の時間を求めていることがわかった。一方で、最下位は「部下のキャリア形成をサポートする(17.2%)」だった。

また、仕事における気持ちや行動に関する質問では、一般社員の半数以上が「上司の気持ちを気遣って、言いたいことを我慢している(54.8%)」と回答。上司の顔色をうかがって十分に質問できない現状も浮き彫りとなった。
1on1の頻度が「1ヶ月に1回以上」の上司の約86%が部下との関係性良好、「半年に1回以下」よりも約20%高い傾向に

どのくらいの頻度で「1on1ミーティング」のような話し合いの機会を設けているかを管理職に聞いた質問では、「1ヶ月以上の頻度で1on1を実施している(49.8%)」管理職の86.3%が「部下との関係が良好」と回答した。一方、「半年に1回以下の頻度で1on1を実施している(30.0%)」管理職では68.0%にとどまり、18.3%低下する。
この差からも、部下との関係を良好に保つためには、時間を割いてコミュニケーションを取ることが重要であることがわかった。

また、「部下のための時間を確保できているか」を聞いた質問では、「半年に1回以下の頻度で1on1を実施している(30.0%)」人のうち、約6割が「忙しさから自分の仕事を優先してしまう(58.6%)」と回答した。この結果は、上司が自分の時間を優先するあまり、部下の課題や悩みに寄り添えていない現状を浮き彫りになった。


さらに、1on1ミーティングなどで「上司に本音を言えているか」を聞いた質問では、「本音を言えている(46.4%)」と回答した一般社員のうちの約9割が「退職・休職を検討・実行したことはない(真剣に検討したことがない)」と答えており、本音を話せる関係性が不満や問題を未然に解決し、健全な信頼関係の構築につながっていることが明らかになった。
約3人にひとりの管理職が突然の部下の休職・退職を経験 “上司の後悔”と”部下が求めていたこと”にギャップ

部下の突然の退職・休職経験の有無を聞いた質問では、およそ3人にひとりの管理職が「突然の退職・休職あり(32.4%)」と回答した。

突然の部下の退職・休職に対して、上司が「行動すべきだった」と後悔していることの1位は「業務量の負担や偏りを考慮すること(32.7%)」、2位「キャリアや将来について対話の機会(1on1など)を増やすこと(30.8%)」、3位「職場の人間関係や雰囲気を改善すること(29.0%)」という回答だった。一方、最下位(8位)は「部下の体調管理や健康面に気を付けること(22.2%)」だった。
また、「上司が理由で退職・休職を検討または実行したことがある(44.0%)」と回答した一般社員に、当時上司にしてほしかった行動を質問したところ、1位は「自分のキャリアや将来について対話の機会(1on1など)を増やすこと(25.0%)」、2位は「自分の体調や健康面にも気を配ること(23.1%)」「業務量の負担や偏りを考慮してくれること(23.1%)」「職場の人間関係や雰囲気を改善してくれること(23.1%)」が並んだ。
注目すべきは、管理職が「後悔したこと」として最下位だった「部下の体調管理や健康面に気を付けること」が、一般社員が「してほしかったこと」としては2位にランクインしている点。部下の不調サインに上司が気づき、適切に対応できるかどうかが、現代のマネジメントにおいて課題であることが示されている。
【調査概要】
調査期間:2025年8月22~25日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国20歳~59歳/管理職500名・一般社員500名