Staffbase(スタッフベース)は、AIネイティブ従業員体験プラットフォーム「Employee AI」の提供を開始したことを発表した。「データの質」「セキュリティ」「従業員へのリーチ」の3つを基盤として、従業員1人ひとりに最適化した情報体験をAIが継続的に届ける仕組みは、EX(Employee Experience(従業員体験))プラットフォーム領域(※)において世界初となる(2025年11月時点、Staffbase調べ)。

「Staffbase」とは

Staffbase(スタッフベース)は、2014年にドイツで創業し、10年程で世界約2,000社に導入される従業員エクスペリエンス(EX)プラットフォーム企業へと成長した。2022年には時価総額10億ドルを突破しユニコーン企業となり、累計調達額は2.9億ドル(約400億円)に達するなど、成長を続けている(※1)。
現在、ドイツ・ケムニッツおよびニューヨークに本社を置き、ロンドン・ベルリン・シドニー・バンクーバーなど世界主要都市に拠点を展開しており、日本では2025年3月に本格提供を開始し、電通総研とのパートナー契約(※2)など、市場拡大を進めている。
※1 直近の資金調達は、2022年3月に実施されたシリーズEで、General Atlanticがリード投資家を務めた
※2 関連プレスリリース:Staffbase、日本市場の成長に向けて 第一号のパートナー契約を電通総研と締結(2025年8月21日)
提供の背景
近年、DXが進む一方で、企業の課題として急浮上しているのが「全従業員に必要な情報をどう届け、定着させるか」という問題である。
自動車/製造・ヘルスケア/医療・小売/サービス・物流/運輸・建設など現場従業員(ノンデスクワーカー)が多い業界では、依然として紙・掲示板・口頭伝達に依存するケースが多く、本社との間の「情報格差」が深刻化しているほか、情報が届かないことが、ミスや業務停滞、離職につながる事例も増えている。
また、日本で「仕事に意欲的に取り組んでいる」従業員の割合はわずか7%であることから、従業員1人ひとりに個別最適化された従業員体験(EX)の必要性が急速に高まっている。Microsoftも、従業員の働き方や体験価値の向上を支援する従業員体験プラットフォーム市場(EXP)は年間で約3,000億ドル(日本円で約31兆5,000億円)規模(※)になると予測しており、世界的にも従業員を支えるデジタル基盤が企業成長の鍵となりつつある。国内でもトヨタやNTTデータがEXに力を入れるなど、先進事例が生まれている。
こうした背景から、Staffbaseは欧米で急拡大したEXプラットフォームのノウハウに、AI時代の要件を統合し、最初からAI前提で設計した世界初のAIネイティブ・プラットフォームを開発した。
※Microsoftの関連リリース(2021年2月5日)
概要
Employee AIは、Staffbase のアプリ・メール・イントラネット・デジタルサイネージなど、あらゆるチャネルで従業員1人ひとりに最適化された体験を生み出すためのAIネイティブ基盤である。この基盤により、ニュースや業務情報が従業員ごとにパーソナライズされ、ポッドキャストやAIアシスタントなどさまざまな形式で届けられる、“1to1社内報”といえる新しい従業員コミュニケーション体験を可能にする。
メールが読まれない、紙の知らせが埋もれる、現場まで情報が届かないといった、情報の伝わらなさ問題が深刻化するなかで、情報が届かないことは従業員のつながりの喪失やモチベーション低下を招き、満足度や生産性の損失といった隠れたコストにつながっている。Employee AIは、読む負担をなくし、必要な情報が自分に届く状態をつくることで、従業員の理解度・エンゲージメント・生産性向上に寄与する。
さらに、若い世代の価値観の変化、労働力の高齢化、外国籍労働者の増加など、多様化が進む職場では、パーソナライズドEXがこれまで以上に必要とされている。とくに従業員エンゲージメントが世界最低の7%にとどまる日本では(※)、社内の情報格差の是正、現場と本社の分断解消、人的資本経営における情報提供の高度化など、さまざまな領域での効果が期待される。
Employee AIは、
- 企業ごとの最新データにもとづき、必要な情報だけを正確に届ける仕組み
- 情報の正確性や安全性を、企業側が一元的に管理できる仕組み
- 現場を含むすべての従業員に、同じレベルで情報が行き届く仕組み
という3つの仕組みによって、これらの課題に応える。
本サービスの導入により、
- 情報過多と情報不足が同時に起きる社内分断の可視化・是正
- スマホがあれば、ノンデスクワーカーを含むすべての従業員が、AIと対話しながら自分に合った形で情報を受け取れる環境の整備
- 従業員への情報提供義務やエンゲージメント施策のAI活用による効率化
が進み、内部コミュニケーションの強化、従業員体験全体の向上、満足度と定着率の引き上げ、さらには企業全体のビジネスパフォーマンスの加速につながる。
※米国ギャラップ社の調査(2025年10月8日)
主な機能
リーチ機能(2種):従業員に情報を届けるための機能
1.従業員ごとに最適化されたAI音声社内報「AIポッドキャスト」(2025年内予定)


- 毎週、従業員1人ひとりにカスタマイズしたポッドキャストを配信
- 社内ニュース・人事情報・業務連絡などを2〜3分に要約し音声で配信
- 従業員の職種・勤務地・興味関心などのプロフィールを基に内容を個別最適化
- 音声冒頭に「犬を飼っている人向け」「子どもがいる人向け」など、AIが自然な雑談を生成し、従業員体験を向上
- 忙しい現場社員にも“情報が届く”世界初のEX機能
2.AIエージェントが“社内の業務窓口”だけでなくタスク完了まで支援する、会話型AIパートナー「AIアシスタント」(2025年内予定)

- 「どこで有給休暇申請を出せば?」「このプロジェクトの担当は?」などの質問に即回答
- 質問に答えるだけでなく申請まで完結するよう、従業員がタスクを完了するのを支援
- 現場から経営層まで、会社のAIフロントドアに
データ品質(2種):従業員1人ひとりに合った正確な情報を届けるための機能
3.従業員とAIに明確なコンテキストを提供する「拡張メタデータ」(2026年1〜3月予定)

- 自動タグ付けにより、検索性・関連性・コンテンツ管理の精度が向上
4.品質を確保し、運用負荷を削減する「AIページガバナンス」(2026年1〜3月予定)

- AIが古い情報や重複コンテンツを自動検知し整理
- イントラを最新状態に保つ仕組みで、情報混乱を防止
コントロール:管理者がAI活用設定を容易にできる機能
5.企業内のAI活用の管理と監視を一元化する「AI Trust Hub」(2025年内予定)

- AIがどんな情報にもとづいて生成したかを透明化(Explainable AI)
- 社内コンテンツのリスクを自動検知
- 組織全体のAI利用をガバナンス・セキュリティ面から統制
- 「AIは信用できない」という従業員側の心理的ハードルを下げる仕組み
【想定する業界】
- 自動車・製造業(多拠点・現場DX・安全情報)
- ヘルスケア・医療・介護(シフト型勤務 × 情報伝達)
- 小売・サービス業(店舗スタッフへの情報統一)
- 物流・運輸(非PC従業員への連絡体系)
- 建設業(現場と本社の連携強化)
Staffbase 日本代表 赤平百合氏のコメント

Employee AIは、従来の“後付けAI機能”とは根本から異なる、世界初の“AIネイティブEXプラットフォーム”です。AIの恩恵を受けることの難しい現場で働く従業員の方を含めたすべての人に、必要な情報や体験を一人ひとりに合わせた形でスムーズにお届けする。そうすることで、企業と従業員のつながりをより強固なものにし、働く人の意欲、そして企業の成長を両立できる新たな基盤となることを確信しております。
