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SalesZine Day 2026 Winter

2026年1月27日(火)13時~18時40分

営業改革事例

「外部の物差し」で自社の営業改革を加速させる──アステラス製薬が挑んだMRの行動変容

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「客観性」という物差しが変革を加速。アステラス製薬が外部データを「使い倒す」理由

──取り組みを開始してからの具体的な成果をお聞かせください。

定量的には、約半年から1年で「ACEスキルスコア」が明確に向上しました。これは、ACEで定義した15の行動スキルを6段階で評価したものですが、全体の平均スコアが2.9から3.3へと上昇したのです

この「3.3」という数字は、外部ベンダーが保有する他社の膨大なデータをもとに算出されたものであり、業界平均を上回る水準に相当します。とくに、私たちが注力領域として絞り込んだ「ニーズの顕在化」という項目については、8割以上のMRが、ハイパフォーマーレベルとされる「スコア4」以上を達成しました。

定性的にも、「これまで話を聞いてくださらなかった先生が面談に応じてくれるようになった」「面談時間が明らかに長くなった」といった報告が届いています。現在、アステラス全体として過去最高業績を記録していますが、MR1人ひとりが顧客の課題解決に真剣に向き合い始めた結果が、数字にも現れていると感じています。

──短期間でこれほどの成果が出た要因はどこにあると見ていますか。

デジタルツールの力を借りて、現場の「成功の熱量」を循環させたことが大きかったですね。具体的には、LINE WORKSで各々の取り組み事例を共有し、その中から良い事例や具体的なノウハウを取り上げ、UMU上で全体に展開する仕組みを構築しました。

「ACEのアプローチを通じてこんな成功につながった」という臨場感の高い学びが常に組織を駆け巡ることで、800人の体温が少しずつ上がっていきました。単なるシステムの導入ではなく、現場の挑戦を称え合う文化を、デジタルがうまく下支えしてくれたのだと感じています。

──アステラス製薬様は、営業改革において外部データや外部ツールを積極的に活用されています。自社基準の「ACE」に閉じず、そうした外部の物差しを積極的に活用される意図を教えてください。

私たちが掲げる「顧客から最も信頼される会社になる」というビジョンを実現するためです。

「最も」という言葉には、必ず比較対象となる相手がいます。自分たちが社内でどれほど「成長した」と満足していても、顧客である医療従事者から見て他社に劣っていれば、それは「最も信頼されている」とは言えません。本気で一番を目指すなら、自分たちを誰よりも厳しく「客観視」することが不可欠なのです。

──外部の物差しに「あえて」照らし合わせるということですね。

そのとおりです。外部ベンダーのデータや業界ベンチマークは、自分たちの現在地を映し出す「鏡」です。加えて、外部ツールのアップデートには、「今、業界全体で何が求められているのか」という最新のトレンドやスタンダードが反映されています。

自社だけの基準に閉じこもらず、外部の知見を柔軟に取り入れ続けることで、私たちは常に自分たちの立ち位置をアップデートできるのです

「最も信頼される」という高い理想を、決して精神論で終わらせない。その覚悟こそが、「外部の客観性を徹底的に使い倒す」という私たちの施策の根幹にあります。

AIで個の力を磨き、顧客から最も信頼されるパートナーへ

──スキルの「見える化」を実現した今、AIなどの最新テクノロジーをどう活用し、さらなる変革を進めていこうとお考えですか。

ACEによって「あるべき姿」が定義できたので、次はデジタルやAIをマネジメント業務に活用し、現場の習熟をさらに加速させたいと考えています。

たとえば、AIを相手にしたロールプレイングです。これによってMRは、いつでも自分のスキルの現在地を確認し、自律的にトレーニングを繰り返せるようになります。AIが基礎的なスキルの底上げを担うことで、マネージャーの役割も変わるでしょう。単なるスキルの指摘に留まらず、より個別性の高い戦略立案や、医師との深い信頼構築といった「人間にしかできない高度なマネジメント」に、より多くの時間を割けるようになるはずです。

──最後に改めて、阪田様がMRの育成にかける思いを聞かせてください。

昨今、MRを取り巻く環境は大きく変化していますが、私は「これからの時代こそ、MRは絶対に必要だ」と確信しています。情報が溢れ、治療が個別化する今だからこそ、医師と共に悩み、患者さんの未来を語れるパートナーの価値は、かつてないほど高まっているからです。

アステラスの経営理念である「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」を最前線で体現するのは、現場のMR1人ひとりに他なりません。彼らが顧客から最も信頼され、一番に選ばれ続ける存在であるために。私たちはこれからも自らのケイパビリティを強化し続けるとともに、デジタルやデータを戦略的に活用しながら、全力で現場の挑戦に伴走していきたいと考えています。

──外部の客観性を取り入れた緻密な戦略と、現場の痛みがわかるからこそ抱ける「想像力」。その両輪を回し、組織のDNAまでも書き換えていく挑戦のプロセスに、胸が熱くなりました。本日は貴重なお話をありがとうございました!

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮地真里衣(セールスジンヘンシュウブ ミヤジマリイ)

2018年に中央大学を卒業後、1年半営業職として従事。2019年秋に編集職へ転身し、広告編集プロダクションにてビジネス系ウェブメディア、ファッション誌、週刊誌などの記事広告や販促物の企画・編集に携わる。2022年11月~翔泳社 SalesZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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